◆心筋梗塞が起こった人は、どんな背景を持っていたか
研究班は、研究に参加したアメリカとスペインの病院で、18歳から55歳の心筋梗塞の患者3,501人を対象として、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、喫煙歴など、心筋梗塞が起こりやすいとされる要因があったかどうかを調べました。
また、聞き取り調査により、対象者がこれらの要因を減らすことについて、医師などの医療提供者と相談していたかどうかも調べました。
◆相談していた人は半分、女性のほうが少ない
次の結果が得られました。
ほとんどすべての患者(98%)に1個以上のリスク因子があり、64%には3個以上のリスク因子があった。患者のうち53%だけが自身に心臓の病気のリスクがあると考えていた。リスクがあることを教えられたと答えた患者(46%)、医療提供者と心臓の病気およびリスクの操作について相談したと答えた患者(49%)はさらに少なかった。女性は男性よりもリスクがあると教えられることが少なく(相対リスク0.89、95%信頼区間0.84-0.96)、医療提供者とリスク操作を相談することも少なかった(0.84、0.79-0.89)。
対象者のうち98%が、危険性につながる要因のどれかひとつ以上に当てはまっていました。しかし、聞き取り調査の結果、その危険性を教えられたり医療提供者と相談したと答えた人は全体の半分以下で、男性より女性のほうが、教えられていない、相談していないという回答が多くなりました。
健康診断などで異常が指摘されていても、理解して納得するまで医師と相談できない場面が実際には多いのかもしれません。男女でなぜ回答に違いがあったのかはわかりませんが、その点をさらに詳しく調べることで、医療の実践に起こっている問題の発見につながるかもしれません。
執筆者
Sex Differences in Cardiac Risk Factors, Perceived Risk, and Health Care Provider Discussion of Risk and Risk Modification Among Young Patients With Acute Myocardial Infarction: The VIRGO Study.
J Am Coll Cardiol. 2015 Nov 3
[PMID: 26515996]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。