◆視覚障害との日常生活の動作能力、QOLの関連性を調査
脳梗塞を発症し、脳のある部位がダメージを負うと、その脳の部位に対応した機能が低くなります。脳の中でも、「見る」という機能の役割を持つ部位は多くあり、視覚障害はよく見られる症状のひとつです。
今回の研究では、ノルウェーの脳卒中データベースに登録されている脳梗塞患者328人を対象に、脳梗塞後の視覚障害と日常生活活動、生活の質(QOL)との関連性を検証しました。
◆視覚障害のある脳梗塞患者は、日常生活の動作能力、QOLが低い
以下の結果が得られました。
視覚に問題がある患者は、長期間の追跡において、EQ-5Dのutilityスコアの中央値(0.62 vs 0.80、p<0.001)、15Dのutilityスコアの中央値(0.73 vs 0.89、p<0.001)が低く、HADSスコアの中央値(12 vs 5、p<0.001)、FSSスコアの中央値(5.6 vs 4.3、p<0.001)が高く、バーセルインデックスの中央値が低かった(95 vs 100、p<0.001)。
視覚障害が見られた患者では、日常生活の動作能力やQOLが低く、入院中の不安が大きいという結果でした。
脳梗塞では、運動や感覚の麻痺だけではなく、視覚障害によっても日常生活をうまく送れなくなることがあります。視覚に配慮した環境作りも必要かもしれません。
執筆者
Vision problems in ischaemic stroke patients: effects on life quality and disability.
Eur J Neurol. 2016 Jan
[PMID: 26563092]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。