日本では、児童虐待に気づいた場合、児童相談所へ通告することが1990年に義務付けられましたが、通告件数はその年の1,101件から2013年には73,765件と70倍も増加しています。日本はもちろんアメリカでも事態を問題視し、研究が行なわれています。
◆29回のインタビューを分析
今回、研究班は一般救急の関係者へ29回のインタビューを行い、児童虐待の発見や通報の経験を分析しました。
◆家族との充分なコミュニケーションがとれない
分析の結果、救急医療関係者による虐待の見逃しの要因には、保護者を信じたいという気持ちや、家族との充分なコミュニケーションがとれないなどがあげられました。
通報を阻む要因としては、通報プロセスに関するもの、報告後にフォローアップが十分に受けられないこと、法廷での証言などが後に起こることなどがありました。
疑わしいという段階でも報告すべきという信念や、チーム内でのリアルタイムな話し合いなどが通報を促す要因にあがりました。
研究班は、救急医療関係者が事例をもとにした学習を行なうこと、さらに、児童保護機関によるよりよいフォローアップや、リアルタイムでの支援が改善につながるとしています。
執筆者
Barriers and Facilitators to Detecting Child Abuse and Neglect in General Emergency Departments
Ann Emerg Med. 2015 Nov
[PMID: 26231409] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26231409※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。