◆GIPはどんなホルモン?
GIPは、インスリンの分泌をコントロールするホルモンの1種です。今までの研究では、GIPはインスリンの分泌を促すことで、血糖値を下げる働きをすることが報告されていました。
血糖値を下げる働きのほかに、GIPを投与したマウスの動脈内には、オステオポンチンというタンパク質が多く見られるという報告もあります。オステオポンチンは、動脈硬化を進めるタンパク質と言われており、心血管疾患との関係にも注目されていました。
◆GIPによるタンパク質への影響を検証
まず始めに研究チームは、健康な人にGIPを注射した時の血中のオステオポンチンを測定することで、GIPが引き起こす現象について確認しました。
さらに、GIPが引き起こす現象にはどのような人が関係しているのかを確かめるために、絶食時のGIP量の測定を行いました。
◆GIPが高いと心血管疾患になりやすい?
健康な人にGIPを注射した結果、以下のことが示されました。
GIPの注射によって、健康な個人における血漿オステオポンチンレベルが増加した。
つまり、GIPはオステオポンチンを増加させることで、動脈硬化を生成しやすくさせる可能性が示唆されました。
さらに、絶食時のGIP量を測定した結果、以下のことが示されました。
[...]絶食時のGIPレベルは、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)の病歴を持つ人においてより高かった。
つまり、心筋梗塞や脳卒中を経験したことがある人ではGIP量が多いことが分かりました。
血糖値を下げる働きのほかに、新たにGIPの増加は心筋梗塞や脳卒中の原因の一部に関与している可能性が示唆されました。この発見は、今後の治療のヒントに繫がるかもしれません。
執筆者
Glucose-Dependent Insulinotropic Polypeptide (GIP) Stimulates Osteopontin Expression in the Vasculature via Endothelin-1 and CREB.
Diabetes. 2015 Sep 22 [Epub ahead of print]
[PMID: 26395740]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。