◆抗うつ薬の用量とうつ症状との関連性を検証
今回の研究は、過去の40の研究をまとめて、抗うつ薬の用量とうつ症状の関連性を検証しました。抗うつ薬のうちでも、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という種類のものを評価しました。
◆抗うつ薬の用量が多いとわずかに効果的
以下の結果が得られました。
縦断的モデル(用量と時間の交互作用0.0007、95%信頼区間0.0001-0.0013)とエンドポイント分析(メタ回帰β=0.00053、95%信頼区間0.00018-0.00088、z=2.98)により、SSRIと効能の間には小さいが、統計的に有意な正の関係が見られた。
抗うつ薬の用量が多いほうが効果が強い関連性がありました。副作用については、抗うつ薬の量が多いと、副作用により研究から脱落した例も多いという関係が見られましたが、全体としては抗うつ薬の量が多いほうが、何らかの理由で脱落する例が少ないという結果でした。
研究班は抗うつ薬の用量と効果の関係について「イミプラミン換算で250mg前後(フルオキセチン換算では50mg前後)で、それ以上用量を増しても効果が変わらなくなるようだ」と述べています。
抗うつ薬の用量と効果は関係しているという結果でしたが、その用量は自己判断で変えることは大変危険です。主治医と相談しながら、用法・用量を守ることをおすすめします。
執筆者
Systematic Review and Meta-Analysis: Dose-Response Relationship of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors in Major Depressive Disorder.
Am J Psychiatry. 2015 Nov 10
[PMID: 26552940]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。