2015.11.19 | ニュース

1日ビール1本で皮膚がんが増加?

アメリカ20万人の解析から

from The American journal of clinical nutrition

1日ビール1本で皮膚がんが増加?の写真

飲酒によって、いくつかの種類のがんができやすくなると言われています。皮膚にできる基底細胞がんと飲酒量の関係を調べる研究が行われました。

◆アルコール摂取量と基底細胞がんの関連を解析

基底細胞がんは皮膚がんのうち代表的なもののひとつで、日光を浴び続けることなどでできやすくなると考えられています。

研究班は、アメリカで行われた3件の長期追跡調査のデータを使って、合計211,462人の対象者のうちで、アルコール摂取量と基底細胞がんの頻度に関連があるか、統計解析によって調べました。

 

◆1日10-20gのアルコールで1.24倍

次の結果が得られました。

アルコール摂取量の増加は、女性と男性でともに基底細胞がんのリスク増加と関連した(ともにPtrend<0.0001)。アルコールの累積平均摂取量のカテゴリに対してプールした多変量調整ハザード比は、まったく飲まない人を基準として、1日あたり0.1-9.9gで1.13(95%信頼区間1.06-1.20)、10.0-19.9gで1.24(95%信頼区間1.14-1.35)、20.0-29.9gで1.27(95%信頼区間1.20-1.35)、30g以上で1.22(95%信頼区間1.15-1.30)だった(Ptrend<0.0001、研究ごとの異質性についてP=0.10)。

まったく飲まない人に比べて、少しでも飲む人では基底細胞がんが多く、アルコール量に換算して1日あたり10g以上20g未満(ビール250mlから500ml程度に相当)を飲む人では1.24倍になっていました。

 

この研究の方法では、飲酒と関係するほかの原因によって基底細胞がんが増えていた可能性も否定できません。しかし、日光を浴びた量は計算に入っているとされています。

飲酒にはがんを含め、さまざまな病気との関係があります。中には少量の飲酒ならば有益な面もあるとされますが、良い面と悪い面を考えるうえで、この報告も参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Alcohol consumption and risk of cutaneous basal cell carcinoma in women and men: 3 prospective cohort studies.

Am J Clin Nutr. 2015 Nov

[PMID: 26423390]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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