◆芸術療法の効果をランダム化比較試験により検証
研究グループは、50歳以上の脳卒中患者118人を対象として、芸術療法の効果を調べました。対象者をランダムに2つの群に分け、一方の群に通常の治療に加えて週2回の芸術活動を、もう一方の群には通常の治療のみを行いました。介入は4週間にわたり行われました。
◆芸術療法はうつ、身体機能、生活の質(QOL)に効果あり
研究の結果、以下のことが示されました。
介入グループの平均の差は対照グループと比較して統計学的に有意にうつ(-4.5、95%信頼区間-6.5から-2.5、p<0.001)、身体機能(1.2、95%信頼区間0.1から2.3、p=0.043)とQOL(8.9、95%信頼区間3.8から13.8、p<0.001)が大きかった。
この結果は、芸術療法を追加で行った群は、行わなかった群に比べて、うつ症状、身体機能、QOLが改善したことを示しています。
芸術療法のどのような側面が脳卒中患者の心理的、身体的機能改善に影響を及ぼしたかは、今回の研究では示されていません。しかしながら、ものを造るという活動が脳に良い刺激を与える可能性があるのかもしれません。
執筆者
Creative art therapy to enhance rehabilitation for stroke patients: A randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2015
[PMID: 26396163]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。