2015.11.03 | ニュース

補聴器で認知症予防?25年間の変化を調べると…

フランスの研究チームが3,670人を25年間追跡調査

from Journal of the American Geriatrics Society

補聴器で認知症予防?25年間の変化を調べると… の写真

認知症の予防策として、人との関わりが重要であるという説がありますが、それは会話をする機会が多いこともひとつの理由かもしれません。今回の研究では、会話に重要な耳の聞こえ具合に関して補聴器の使用と認知機能の関連を検証しました。

◆耳の聞こえ具合と認知機能の関連性を検証

今回の研究は、65歳以上の3,670人を25年間追跡調査し、耳の聞こえ具合がとても悪い人、やや悪い人、悪くない人の認知機能との関連性を検証しました。 耳の聞こえが悪い人では、補聴器の使用の有無によって、認知機能が異なるかも検証しました。

 

◆耳の聞こえが悪い人は認知機能が低く、補聴器を付けていると予防できるかもしれない

以下の結果が得られました。

主観的に難聴である人は、年齢、性別、教育歴とは独立して、ベースラインのMMSEスコアがより低く(β=-0.69、p<.001)、25年間の追跡期間でより大きく減少することと関連した(β=-0.04、p=.01)。

25年間の追跡期間におけるMMSEスコアの変化率は、難聴で補聴器を使用していない人と対照群の間で差が見られた(β=-0.06、p<.001)。

対照的に、難聴で補聴器を使用している人は対照群と認知機能の低下について差は見られなかった(β=0.07、p=0.08)。

耳の聞こえ具合が悪い人は認知機能が大きく下がる傾向が見られましたが、補聴器を付けている場合は、聞こえ具合が悪くない人と同様の傾向を示していました

 

耳の聞こえ具合によって、認知機能の低下が変化する可能性があるという結果でした。この研究の方法では、補聴器をつけて認知機能低下を予防することができるかどうかは確かにはわかりませんが、さらに研究が進めば明らかになってくるかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Self-Reported Hearing Loss, Hearing Aids, and Cognitive Decline in Elderly Adults: A 25-Year Study.

J Am Geriatr Soc. 2015 Oct

[PMID: 26480972]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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