◆34万人のフルクトサミンと心筋梗塞、死亡のデータから
糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化が進み、心筋梗塞などの病気が起こりやすくなります。1か月程度の血糖値の水準を反映するHbA1cのほかに、フルクトサミンも血糖値の推移を反映し、フルクトサミンが高いことは心筋梗塞のリスクが高いことにつながると考えられます。
この研究は、スウェーデンの大規模調査から338,443人の対象者をおよそ19年間追跡したデータを取り出し、フルクトサミンの量とその後の心筋梗塞または死亡について統計解析を行いました。
◆フルクトサミン2.7mmol/lで死亡率2.3倍
次の結果が得られました。
心筋梗塞について、フルクトサミンの参照範囲の対象者に比べて、2.70mmol/lを超えた対象者では、性・年齢・空腹時・参加時期で調整したハザード比は2.88(95%信頼区間2.70-3.07)だった。対応する全死亡のハザード比は2.31(95%信頼区間2.21-2.41)だった。
フルクトサミンの量が2.70mmol/lを超えた人では、心筋梗塞の発症が2.9倍ほど、死因を問わない死亡が2.3倍ほどに多くなっていました。
フルクトサミンが長期的な経過の予測に役立つかもしれないという結果でした。フルクトサミンは日本でも以前に検査で使われていましたが、現在では同様の指標として主にグリコアルブミンが使われます。血糖値、HbA1cのほかにも違った特徴のある検査を使い分けることで、より信頼性の高い情報が得られるかもしれません。
執筆者
Fructosamine is a risk factor for myocardial infarction and all-cause mortality - Longitudinal experience from the AMORIS cohort.
Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2015 Oct
[PMID: 26296867]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。