◆免疫グロブリン注射の予防効果
免疫グロブリンは、人間の体内で作られていて、抗体として働きウイルスなどの感染を防いでいる物質です。この研究では、人間の血液から取り出した免疫グロブリンを薬として注射する方法の効果が検討されました。
研究班は、過去の文献を検索して、風疹予防のために免疫グロブリン注射の効果を調べた研究を集め、結果を統合しました。
◆免疫グロブリン注射で風疹4割減
次の結果が得られました。
風疹の発症数についてγグロブリン(濃縮されたポリクローナルな免疫グロブリン)と対照(生理食塩水または無治療)を比較した11件の研究を最初のメタアナリシスに採用した。結果は、介入群を優位としたが(リスク比0.61、95%信頼区間0.45-0.83)、不均一性が見られた(χ2検定=36.59、df=10[P<0.0001]、I2=73%)。
採用された研究1件は、先天性風疹症候群について報告してあり、登録時点で妊娠9週未満で、2種類のγグロブリン群(高用量または低用量)の一方に割り付けられた参加者に発症は見られなかった。
予防治療を行わない場合に比べて、風疹を4割程度少なくする効果が見られました。先天性風疹症候群については、妊娠中の女性に免疫グロブリン注射を行った1件の研究で検討されましたが、発症例がなく、予防効果は判定できませんでした。
研究班は「無治療に比べて、ポリクローナルな免疫グロブリンは風疹予防に有益であるようだ」と結論しています。
先天性風疹症候群は先天性心疾患など重い病気を起こし、対策には妊娠の可能性がある女性が風疹を予防することが重要と考えられています。効果的に予防する方法の研究は今も続けられています。
執筆者
Post-exposure passive immunisation for preventing rubella and congenital rubella syndrome.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 9
[PMID: 26350479]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。