◆予防のための抗菌薬治療を行う群と通常の脳卒中ケアを行う群にランダムに振り分け
2008年から2014年の間に入院した脳卒中患者1224人を、通常ケアに加えて抗菌薬を使う予防治療を行う群と通常ケアのみ行う群の2群にランダムに振り分けました。
抗菌薬の予防治療は7日間実施し、その効果を検証しました。
◆肺炎の予防に抗菌薬は有効とは言えない
以下の結果が得られました。
予防的抗菌薬は、アルゴリズムにより定義された脳卒中後肺炎の発生に影響しなかった(抗菌薬群の564人中71人[13%]、対照群の524人中52人[10%];限界調整オッズ比[OR]1.21[95%信頼区間0.71-2.08]、p=0.489、級内相関係数[ICC]0.06[95%信頼区間0.02-0.17])。
脳卒中発症後に、肺炎予防として抗菌薬で治療を行っても、通常のケアと比較して、統計的には肺炎の発症を減少するとは言えないという結果でした。
筆者らは、「予防的な抗菌薬は、脳卒中ユニットで治療されている脳卒中後の嚥下障害患者の脳卒中後肺炎の予防として、推奨されない」と述べています。
脳卒中だけに限らず、誤嚥性肺炎による死亡はかなり多く、その予防が必要です。しかしながら、脳卒中の嚥下障害後ではその予防として抗菌薬は有効ではなかったという研究結果でした。脳卒中後の肺炎予防に有効な治療法の確立が望まれます。
執筆者
Prophylactic antibiotics after acute stroke for reducing pneumonia in patients with dysphagia (STROKE-INF): a prospective, cluster-randomised, open-label, masked endpoint, controlled clinical trial.
Lancet. 2015 Sep 3
[PMID: 26343840]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。