◆18人を治療
研究班は、自閉症スペクトラム障害と診断された成人男性を対象として、オキシトシンによる6週間の治療を行い、自閉症スペクトラム障害の症状に変化が見られるかを調べました。
オキシトシンは人体の中で作られているホルモンの一種で、女性の体で子宮を収縮させる働きなどが知られていますが、これ以前の研究から、自閉症スペクトラム障害の治療としての効果が見込まれていました。
◆オキシトシンで中核症状が改善
次の結果が得られました。
試験を完了した参加者18人から得られたデータから、6週間の経鼻オキシトシンが、Autism Diagnostic Observation Scaleによって臨床的に評価された自閉症中核症状を対人相互作用に特異的に有意に減少させたことが示された(P=0.034、PFDR<0.05、Cohen's d=0.78)。
オキシトシンによる治療終了後の18人の症状から、評価基準にある「対人相互作用」に対する症状が改善する効果が見られました。
自閉症スペクトラム障害に対するオキシトシンの治療は、2015年9月時点で東京大学などにより臨床試験が行われています。オキシトシンが新しい治療法に加わることができるかどうか、臨床試験の結果に期待がかかります。
執筆者
Clinical and neural effects of six-week administration of oxytocin on core symptoms of autism.
Brain. 2015 Sep 3 [Epub ahead of print]
[PMID: 26336909]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。