2015.08.30 | ニュース

大腸がんの予防にアスピリン、NSAIDsの長期使用は役立つのか?

デンマーク11万人の症例対照研究

from Annals of internal medicine

大腸がんの予防にアスピリン、NSAIDsの長期使用は役立つのか?の写真

解熱鎮痛薬として知られるアスピリンは、血液を固まりにくくするなどの目的で長期使用されることがありますが、それにより大腸がんが少なくなるという説があります。デンマークの長期間の診療データを解析する研究で、その関連が検討されました。

◆デンマーク11万人のデータから

この研究は、北部デンマークの大腸がん患者10,280人と、大腸がんのない102,800人の対照集団について、診療データから治療薬の使用歴を調べ、アスピリンを含むNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の使用と大腸がんに関連があるかを調べました。

 

◆長期使用で関連あり

次の結果が得られました。

低用量アスピリンの5年以上にわたる長期間継続使用は結腸直腸がんのリスクの27%減少と関連したが(オッズ比0.73、95%信頼区間0.54-0.99)、累積の長期間使用(継続して、または断続で)に対する全体のオッズ比は1に近かった。非アスピリンNSAIDsの使用は、特にCOX2選択性が高い薬剤の長期間の平均DDD0.3以上の高用量の使用については、結腸直腸がんのリスクのかなりの減少と関連した(オッズ比0.57、95%信頼区間0.44-0.74)。

アスピリンの長期間継続使用と大腸がんの減少に統計的な関連が見られました。また、アスピリン以外のNSAIDsについても、長期間、高用量の使用などと関連して、大腸がんが少なくなっていました。

 

この研究の方法では、NSAIDsと大腸がんが少ないことの間に必ずしも因果関係があるとは断言できません。NSAIDsを使うことと大腸がんが少ないことに共通の原因がなかったかなど、さまざまな要素によって、統計的な関連に影響が現れる可能性が考えられます。慎重に検討する必要はありますが、似た結果はこれまでにもいくつかの研究で報告されています。

ほかの病気への影響も含め、NSAIDsの長期的な価値を考えるうえでひとつの論点になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Low-Dose Aspirin or Nonsteroidal Anti-inflammatory Drug Use and Colorectal Cancer Risk: A Population-Based, Case-Control Study.

Ann Intern Med. 2015 Aug 25 [Epub ahead of print]

[PMID: 26302241]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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