◆頚動脈プラークで予測
研究班は、2型糖尿病の患者581人を対象として追跡調査を行いました。首にある頚動脈の超音波検査で見えた、動脈硬化の様子を指標として、その後の主要心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中など)を予測できるかどうかを調べました。
動脈硬化があると、動脈の壁にたまった「プラーク」(脂肪などを含む塊)が超音波検査で見えますが、プラークの中身は脂肪が多く超音波検査で暗く見える場合と、カルシウムが沈着して硬く、超音波検査で明るく見える場合があります。
◆明るいプラークで主要心血管イベントが多い
次の結果が得られました。
プラークは患者の81.8%に見られた(エコールーセント16.4%、不均一43.2%、エコージェニック22.2%)。フォローアップ中(4.3±0.1年)、58人の死亡(うち27人は心血管疾患による)と236件の致死性または非致死性の主要心血管イベントがあった。単変量解析で、頚動脈プラークがどんな種類であっても存在する場合は、存在しない場合に比べて、主要心血管イベントの発症と関連し、ハザード比はエコールーセントのとき1.97(95%信頼区間0.93-3.44)、不均一のとき3.10(95%信頼区間2.09-4.23)、エコージェニックのとき3.71(95%信頼区間2.09-5.59)と進行するにしたがって増加した。
プラークが見られないときよりも、見られたときのほうが主要心血管イベントが多く、特に超音波検査で明るく見えるプラークがあったとき、主要心血管イベントが多くなっていました。
この違いによってどの程度の精度で心筋梗塞や脳卒中を予測し、治療方針に反映することができるかを評価するには、ほかの研究が必要です。動脈硬化と関係する病気の経過を予測する試みはさまざまな角度からなされていますが、この結果は、さらに探索を進めるための手掛かりになるかもしれません。
執筆者
Carotid Plaque Calcification Predicts Future Cardiovascular Events in Type 2 Diabetes.
Diabetes Care. 2015 Aug 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26253729]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。