◆CARDIA研究に参加している2,027人を対象に調査
筆者らは以下の調査研究を行いました。
この研究はCoronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA)研究に参加している2,027人(38から50歳、57%が女性、平均BMIは29.0 ± 7.0 kg/m2)についての、フォローアップ20年目(2005年から2006年)の試験における加速度データ(座位時間が10時間/日の日が4日以上)、の解析である。
つまり、38歳から50歳の若年層を対象に、座位時間の長さと血糖値など糖尿病に関連する各種メタボリックシンドローム関連指数の関係を調べました。ここでは座位とは、起きている間でエネルギー消費が一定数以下の状態を言います。例えばデスクワークや読書、テレビの視聴やおしゃべりといった行為等です。測定は調査開始時に加え、5年後にも行われました。
◆座位時間の長さと5年間のメタボリック関連項目変化には、相関関係なし
以下の調査結果が得られました。
座位時間の平均は8.1±1.7 時間/日、または活動時間の55 ± 10%であった。1日あたり座位時間1時間の増加は、飢餓時インスリン値とHOMA-IRの3%増加と横断的に相関があったが (いずれもP < 0.01)、メタボリック関連項目の5年間の変化とは関連がなかった。座位時間が10時間/日以上と6時間/日未満を比較すると、耐糖能異常のオッズ比は2.74(95%信頼区間は1.13から6.62)であり、糖尿病は3.80(95%信頼区間1.39から10.35)であった。座位時間はHbA1cによる空腹時血糖の異常、前駆糖尿病の罹患率と関連が無かった、また5年間のいかなるメタボリック関連の帰結の発生とも関連が無かった(全てp>0.05)。
つまり調査開始時には座位時間が長いと糖尿病関連指数のいくつかが悪い傾向がありました。けれども調査開始後5年間におけるメタボリック関連項目の数値変化と座位時間には、相関関係がありませんでした。
著者らは、「結論として、座位時間の長さはインスリン、HOMA-IRと、また糖尿病および耐糖能異常の罹患率とそれぞれ独立に相関があったが、5年間のメタボリックパラメーターの変化またはメタボリック関連帰結の発生を予測出来なかった。」と述べています。
この結果から、座っている時間が長くても糖尿病にならないと結論づけるのは、まだ早いようです。著者らも更なる追跡調査や測定が必要であると述べています。座っている状態と関連する生活習慣や体格等を更に詳細に調査すれば、新たな因子が判明するかも知れません。
執筆者
Cross-Sectional and Longitudinal Associations Between Objectively Measured Sedentary Time and Metabolic Disease: The Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) Study.
Diabetes Care. 2015 Jul 8.
[PMID: 26156528 ] http://care.diabetesjournals.org/content/early/2015/07/15/dc15-0226.abstract
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。