◆1,295人の子どもを追跡
研究班は、中国の子どもを長期間追跡する研究の対象者のうち1,295人について、3歳から5歳の時期と、11歳から15歳の時期に血中の亜鉛と睡眠の状態を調べました。
◆亜鉛が少ないと睡眠の質が低い傾向
得られた情報の解析から次の結果が得られました。
横断解析から、青少年期には血中亜鉛濃度と睡眠時間の不足(オッズ比0.432、P=0.002)、睡眠の中断(オッズ比0.454、P=0.009)、低い睡眠の質(オッズ比0.559、P=0.049)に負の相関が見られた[...]。縦断解析では、入学前の年齢での血中亜鉛濃度は、青少年期の低い睡眠効率(オッズ比0.186、P=0.000)、低い睡眠の質(オッズ比0.358、P=0.020)を予言した。
3歳から5歳で亜鉛が少なかった子どもは、11歳から15歳で睡眠の質が低いことが多く、また11歳から15歳で亜鉛が少ない子どもは、その時点で睡眠時間の不足や睡眠の質が低いことが多くなっていました。
研究班は「この結果は、未成年での発達段階によっては、十分な亜鉛濃度が良い睡眠の質と関連することを示唆する」と結論しています。
この研究の方法では、必ずしも亜鉛が睡眠の質をよくするために必要とは断言できません。睡眠の習慣に関わるような生活環境の違いが、亜鉛の摂取量にも影響していたなどの可能性がありえます。
亜鉛が原因で睡眠の質が変わるかどうかを知るには、実験的に亜鉛を多く摂取する人と少なく摂取する人を比較する研究があれば情報が得られるかもしれません。
執筆者
Associations between Blood Zinc Concentrations and Sleep Quality in Childhood: A Cohort Study.
Nutrients. 2015 Jul 13
[PMID: 26184300]
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