2015.07.29 | ニュース

尿酸値を減らす薬が慢性腎臓病の進行を抑えた

中国54人のランダム化研究

from American journal of kidney diseases : the official journal of the National Kidney Foundation

尿酸値を減らす薬が慢性腎臓病の進行を抑えたの写真

尿酸値が高い高尿酸血症があっても、必ずしも全員が尿酸値を下げる薬を使うべきとはいえないとされています。薬を使うべき場合の根拠のひとつとされる、2006年の論文を紹介します。もともと慢性腎臓病があった人に対する効果が報告されています。

◆慢性腎臓病の患者が対象

研究班は、慢性腎臓病があり尿酸値が高い54人の患者を対象として、尿酸値を下げる薬のアロプリノールを使って治療をするグループと、アロプリノールを使わない通常の治療を続けるグループ(対照群)に分け、12か月の治療の結果を比べました。

 

◆透析などが減少

次の結果が得られました。

全体で、アロプリノール群の患者25人のうち4人(16%)が、有意な腎機能の悪化および透析依存を組み合わせたエンドポイントに到達したのに対して、対照群では26人の患者のうち12人(46.1%)だった(P=0.015)。

アロプリノールを使うグループで、透析が常時必要になるなど腎臓の機能が悪化する結果が少なくなっていました

研究班はこの結果から「アロプリノールの使用は安全であり、対照に比べて12か月の治療において腎機能を温存することを助ける」と結論しています。

 

尿酸値が高いほど痛風を発症しやすいと言われています。ほかにもこの研究で示された慢性腎臓病や、尿路結石とも関係すると言われています。尿酸値が高い人は、痛風だけではなくさまざまな病気に注意して、総合的に健康管理をすることが勧められます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Use of allopurinol in slowing the progression of renal disease through its ability to lower serum uric acid level.

Am J Kidney Dis. 2006 Jan

 

[PMID: 16377385]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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