インド産の植物が動脈硬化を改善、炎症抑制と関連
インドの植物であるスファエラントゥス・インディクスの抽出物は、炎症反応を抑える効果があります。今回著者らは動脈硬化に炎症反応が関わっていることに着目し、この物質の影響を動物実験で検討したところ、動脈硬化を改善する作用が示されました。
◆マウスとハムスターにスファエラントゥス・インディクスのメタノール抽出物を投与
著者らは、以下の実験を行いました。
研究は2つの動物モデルを用いて行った。高脂肪食を与えたLDLr(-/-)マウスと、高脂肪食を与えた高脂血症のハムスターである。スファエラントゥス・インディクスのメタノール抽出物は高脂血症のLDLr(-/-)マウスに100および300mg/kg 体重/日 (7-HFの20と60mgに相当)を8週間与え、血漿脂質と
大動脈 病変 領域を測定した。高脂血症ハムスターには、200mg/kg/日を与えた。
つまり
メタノールに溶ける物質は細胞膜を通過できるため、この抽出物は細胞の内部で起こっている反応に影響することができると考えられます。
◆動脈硬化を促すタンパク質が減る事で動脈硬化抑制効果
以下の実験結果が示されました。
スファエラントゥス・インディクスの抽出物は、どちらの動物モデルでも脂質成分の構成を変えなかったが、大動脈病変領域をLDLr(-/-)マウスでは22%、高脂血症ハムスターでは45%減らした。対照試薬として用いたフェノフィブラートは、
アテローム 形成リポタンパク質の大規模な低下を引き起こし、LDLr(-/-)マウスでは26%、高脂血症ハムスターでは84%、大動脈病変領域を減らした。スファエラントゥス・インディクスの脂質非依存的な抗動脈硬化活性は、[...]血中のMCP-1、TNFαとIL6量の低下と関連があった。
つまりスファエラントゥス・インディクスの抽出物は、血中の脂質のバランスを変える事無く、動脈硬化を改善しました。またその作用メカニズムとして、
筆者らは、「我々の発見は炎症性タンパク量を低減する抗炎症性物質が、動脈硬化の進行を阻害する事を示した。スファエラントゥス・インディクスのメタノール抽出物は現在乾癬の治療に用いられているが、血中炎症性
このスファエラントゥス・インディクスのメタノール抽出物は、7-hydroxy frullanoideが主な有効成分とされています。メタノールに溶ける物質は細胞膜を通る事が出来るので、今回用いた物質は様々な細胞に取込まれ、他の良い作用をもたらす可能性もあります。
動物実験の段階でありまだ今後の研究次第ではありますが、人間でも動脈硬化に効果がありそうな結果が得られれば、新たな治療薬の候補の1つとして加わっていくかも知れません。
執筆者
A novel anti-inflammatory natural product from Sphaeranthus indicus inhibits expression of VCAM1 and ICAM1, and slows atherosclerosis progression independent of lipid changes.
Nutr Metab (Lond). 2015 Jun 5
[PMID: 26064179] http://www.nutritionandmetabolism.com/content/12/1/20※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。