2015.07.26 | コラム

熱が出たらすぐに病院に行くべき?〔小児科に行く前に〕

急に高熱が出たらどういう対処をすればいいの?

熱が出たらすぐに病院に行くべき?〔小児科に行く前に〕の写真

高熱でも視線がしっかり合い、おもちゃなどに興味を示し顔色もよい場合は深夜などに救急受診をする必要はありません。氷嚢を首、脇の下、股の付け根にあてて冷やしてあげることで楽になります。お子さんの状況をよく観察し、責任と愛情をもって判断してあげることで、お子さんにも「見守られている」安心感が伝わります。生後3カ月未満の発熱は早めに受診をしてください。

◆熱が出たら病院に行かないといけない?

お子さんの体調の変化で多いのが、急な発熱です。特に夜間などに急に発熱し、保護者の方が不安になられることは多いと思います。

まず、覚えておいていただきたいのは、「熱が出たから、すぐに病院へ行って解熱剤をもらって、解熱剤を使わなければいけない」という考え方は間違っているということです。

しかし、3カ月未満のお子さんは熱が出た場合には、重篤な疾患が隠れていて、急激に症状が変化する場合があります。3カ月未満のお子さんの発熱は躊躇せず医療機関を受診してください

 

◆熱が出るのはどんなとき?

発熱とは、何かしらの病原体が体内に入り、それをやっつけようとする体の正常な反応であることを知っておくとよいと思います。つまり、熱が出たから、すぐに解熱させなければと考えるのはあまり適切だとは言えません。体内の病原体をやっつける白血球という細胞を活性化させるために体温を上げています。体が病気を治そうとする正常な反応なのです。

 

◆熱が出たら何をすればいい?

しかし、あまりにも熱が高く、本人がぐったりして、水分も取れないなどという状況では、体力を消耗してしまいます。そんな時は解熱剤や氷や水枕などでクーリングしてあげると苦痛がとれ、体力の消耗を防ぐことができます。また、熱が長く続く(目安としては4日以上)場合には医療機関を受診し、風邪などのウイルス感染以外に原因がないか判断する必要があります

また、お子さんの急な発熱ですぐに病院に受診をしなくてはいけない状況となることは多くありません。これからご説明する点をしっかりと理解し対応してほしいと思います。

まず、以下の2点をチェックするとよいでしょう。

  • 意識ははっきりしているか?(けいれんはしていないか?)
  • 顔色は悪くないか

やや苦しそうだけど、意識がはっきりしていて、周囲に興味を示し、けいれんなどもなく、顔色も良い状況であれば、医療機関が閉まっている時間帯であれば、ひとまず、お子さんをゆっくり休ませて、発熱による苦痛をとってあげるホームケアをしてあげましょう。

しかし、なんだか呼びかけに対して反応が悪い、顔色が悪く、唇の色も青い、けいれんしているなどの症状が見受けられる時は、医療機関を受診して下さい。

 

◆家でできるケアは?

次に発熱時のホームケアについてご説明します。急な発熱時のお家での対応方法として、一番良いのが氷嚢、水枕などによるクーリングです。おでこに貼って熱を和らげるものもありますが、それらはあまり効果がなく、氷嚢、水枕の方が効果的です。

効率よく体温を下げる氷嚢、水枕の使用方法としては、大きな血管が走っている、首回り、足の付け根などを重点的に冷やすと良いでしょう。

しかし、これらもあくまで、苦痛をとってあげる一時的な処置と考えてください。

解熱剤も同様です。解熱剤は病気自体を治す薬ではありませんので、何回も解熱剤を使っても、その病気自体が治らなければ、解熱剤の効果が切れた数時間後に再び発熱してしまいます。病気の勢いや個人によって解熱剤の効果も様々ですので、注意してください。「解熱剤を使ったのに熱がよくならない」ということで来院される方がいますが、ここに書いたような以上の点からすると、病気自体が治らなければ当然の話なのです。

それと、熱の時の衣類ですが、熱が上がっているときは手足は冷たくなり、震えがでます。その時は温めてあげてください。熱があがりきると手足は暖かくなるのでその時は熱がこもらないよう薄着にしてください。

 

熱が出たからすぐに医療機関を受診し解熱剤をもらって使用しなくてはいけないということではないことをご理解いただくとよいと思います。風邪を引いて、病原体と体が戦っていると熱が出ます。通常の風邪の場合には3~4日熱が続くこともあります。熱以外に重篤な症状や気になる症状がないか、熱が4日以上続いていないかを目安に受診していただくと、お子さんの負担になる頻回の受診が減らせるのではないでしょうか。

保護者の方が子どもたちの症状をじっくり観察し、そして自宅でケアを行うことがお子さんにとって、とても重要な治療になります。

保護者の方々が子どもたちの病状を観察し、そしてそれを責任と愛情を持って判断することで「見守られている」という感覚が子どもたちに伝わります。それが子どもたちに安心感をもたらし、子どもたちの成長発達の助けになるはずです。

どうしても判断に困るときは医療機関にご相談ください。ただし、3カ月未満のお子さんの発熱の場合には躊躇せず医療機関を受診してください。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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