◆人間に集まる都市型、モルモットに集まる森林型
研究班は、都市型と森林型のネッタイシマカを飼育して、人間の匂いとほかの動物の匂いに対して、それぞれのタイプの蚊が反応する様子の違いを観察しました。蚊の飼育箱の中に人間の体の一部とモルモットを入れたところ、都市型の蚊は人間に多く、森林型の蚊はモルモットに多く集まりました。
◆スルカトンを感じる遺伝子の違い
都市型の蚊と森林型の蚊を遺伝子解析し、違いがあった遺伝子のうちで、人間とモルモットを区別する行動に関わるものを探したところ、匂いの感覚に関わる「Or4」という遺伝子が、人間の体から多く出ている「スルカトン」という匂いの物質に対する反応を左右していることが見つかりました。
Or4遺伝子に特定の変異があるとき、スルカトンに対する反応が強くなっていました。
研究班は、「この結果は行動の進化に寄与する遺伝子のまれな例を提供し、疾患ベクターとなる蚊がどのように人間に特化するようになったかについての視野を開く」と結論しています。
蚊の行動の要因を特定し、行動を予測できるようになれば、感染対策の助けになるかもしれません。蚊によって媒介される感染症は今でも世界で多くの死者を出しており、有効な対策が立てられれば大きな意味があります。
執筆者
Evolution of mosquito preference for humans linked to an odorant receptor.
Nature. 2014 Nov 13
[PMID: 25391959]
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