2015.07.12 | ニュース

肝臓がんがあるかないか、血液マーカー「FIB-4」「AFP」で肝硬変患者を診断

アメリカ1,356人の症例対照研究から

from Journal of clinical gastroenterology

肝臓がんがあるかないか、血液マーカー「FIB-4」「AFP」で肝硬変患者を診断の写真

肝炎ウイルス感染やアルコール性肝障害が長く続くと、肝臓のダメージが回復できない肝硬変という状態に進むことがあります。肝硬変になった肝臓からは肝細胞がんができやすく、がんを早期発見して手術で切り取ることが重要な治療と考えられています。アメリカの研究班が、血液中のマーカーとして知られている「AFP」に加えて「FIB-4」という物質を指標にすることで、肝細胞がんがあるかどうかを区別できたと報告しました。

◆肝硬変患者の検査データから

研究班は、肝硬変と診断された患者の間で、肝細胞がんがある人とない人の検査値を比較し、違いがあるものを調べました。

 

◆AFPとFIB-4に関連

統計解析から次の結果が得られました。

肝硬変のある患者1,356人が同定され、うち455人に肝細胞がんがあり(147人が早期)、901人には肝細胞がんがなかった。AFPが20ng/mLを超えること(オッズ比10.5、95%信頼区間7.9-13.9)、また肝線維症の非侵襲的マーカーであるFIB-4が(オッズ比1.06、95%信頼区間1.03-1.09)、肝細胞がんがあることと有意に関連していた。

血液の検査値のうち、肝細胞がんの検査としてすでに知られているAFPに加えて、FIB-4の値が肝細胞がんと関連していました

研究班は「AFPとFIB-4を含むモデルは、肝硬変のある患者のうち、早期肝細胞がんがある人と肝細胞がんがない人を正確に区別することができる」と結論しています。

 

肝細胞がんの検査には画像検査などいくつかの方法があり、それぞれの特徴を生かすよう使い分けられています。血液検査の項目が増えることでどのような場合を診断しやすくなるのかは全体の中で考える必要があります。

うまく使い分けて肝細胞がんを早期発見することができれば、治療の結果改善につながるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Development and Internal Validation of a Model for Early Detection of Hepatocellular Carcinoma in Patients WithCirrhosis.

J Clin Gastroenterol. 2015 Jun 25 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26125462]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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