◆脳梗塞後に麻痺がある人が対象
研究班は次の対象者について鍼治療の効果を見ました。
虚血性脳卒中の発症後3日から10日で、手足の麻痺がある入院患者862人が、標準的ケアに加えて鍼治療を受ける群と、標準的ケアのみの群に割り付けられた。
脳梗塞後に手足の麻痺がある人862人を対象とし、鍼治療を受けるグループと受けないグループにランダムに振り分けました。
◆10回の鍼で有意差あり
3週間から4週間の治療ののち、死亡または要介助となった人の割合について、次の結果が得られました。
10セッション以上の鍼治療を受けたサブグループで利益が見られた(オッズ比0.68、95%信頼区間0.47-0.98)。
深刻な有害事象は鍼治療群の7.6%、対照群の8.3%に起こった。
鍼治療を10回以上受けた人では、死亡または要介助になる結果が少なくなっていました。
研究班は「ここで観察された利益の可能性が将来より大きな研究で確かめられれば、より広い範囲にこの治療を使うことによって得られる健康増進効果はかなりのものでありうる」と述べています。
一般に、治療効果の評価として、ある程度以上の治療を受けられた人に限った集計には注意が必要です。治療を中止した人に重症の人が多く、治療を受け続けられた人に比較的状態の良かった人が多かった場合、治療の効果が過大評価される可能性があるからです。
一方、脳梗塞の症状や治療後の経過は、重症度や梗塞の場所などによってかなりの個人差があるため、個別に見て鍼治療が特に有効な場合があったかどうかは別に考える余地があるかもしれません。
執筆者
Acupuncture efficacy on ischemic stroke recovery: multicenter randomized controlled trial in China.
Stroke. 2015 May
[PMID: 25873601]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。