◆治療の組み合わせ群と患者教育群にランダムに分類
今回の研究では、40歳以上で症状および読影上、膝蓋大腿関節症である92名の患者を対象に以下の方法で実施しました。
理学療法士が、膝蓋大腿関節をターゲットにした運動療法、患者教育、徒手療法、テーピングのプログラム、または変形性関節症の患者教育(コントロール群)を、12週間に渡り8セッション実施した。
運動療法、患者教育、テーピング、その他の治療を行う群(プログラム群)と、患者教育だけを行う群(コントロール群)の2群に分類し、痛みや動作能力に対する効果を検証しました。
◆プログラム群はコントロール群と比較し、有意に膝の痛みが改善
調査の結果、以下のことを報告しました。
ベースラインにおいて、群間で集団特性は類似していた。
運動療法、患者教育、徒手療法、テーピングを行った群では、大きな改善を訴えた者が44名中20名、患者教育を行った群では48名中5名であり(NNT3、95%信頼区間2〜5)、プログラム群ではより痛みが改善した(平均値の差-15.2mm、95%信頼区間-27.0〜-3.4)。
プログラム群では、患者教育群と比べて、より痛みが改善し、症状全体としても対象者の自覚的な改善が多いという結果でした。
筆者らは、「運動療法、患者教育、徒手療法、テーピングのプログラムが患者の短期的自覚的変化および痛みの重症度の改善のために、推奨されるであろう」と結論づけています。
実際の治療では、この研究のようにさまざまな方法を組み合わせて使うことが多いかもしれません。ひとつずつの治療では、もしかしたら効果が薄いかもしれませんが、組み合わせることで効果が積み上がった可能性があります。なかなか治まらない痛みにも、このようにコツコツ治療することでよくなる場合があるかもしれませんね。
執筆者
Exercise, education, manual-therapy and taping compared to education for patellofemoral osteoarthritis: a blinded, randomised clinical trial.
Osteoarthritis Cartilage. 2015 May 7
[PMID: 25960116]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。