◆台湾4万人を6.5年間追跡
研究班は次の対象者を追跡調査しました。
前向き症例マッチコホート研究において、17歳以上の台湾人の個人40,623人が6.5年間フォローされた。
台湾で約4万人の対象者を6.5年間追跡し、尿酸を下げる治療によって心血管疾患による死亡およびほかの死因による死亡に違いがあるかを統計解析しました。
◆痛風があると死亡率増、尿酸を下げないと死亡率増
解析から次の結果が得られました。
調整後、痛風のある患者は尿酸抑制治療を受けていない場合、マッチされた痛風なし・尿酸抑制治療なしの対照患者に比べて心血管疾患死亡率(ハザード比2.43、95%信頼区間1.33-4.45)と全死因死亡率(1.45、1.05-2.00)が高かった。痛風があり尿酸抑制治療を受けていない患者に比べて、痛風があり尿酸抑制治療を受けていた患者は心血管疾患死亡率(0.29、0.11-0.80)、全死因死亡率(0.47、0.29-0.79)が低かった。
痛風がある人は、ない人に比べて死亡率が高く、痛風がある人の間では尿酸を下げる治療を受けていなかった人の死亡率が、尿酸を下げる治療を受けていた人に比べて高くなっていました。心血管疾患による死亡に限っても、すべての死因による死亡についても同様でした。
この研究の方法では、痛風が長期間治療されなかった背景にほかの原因があり死亡率を高くしていた可能性を否定できません。その可能性を踏まえても、痛風を治療しないということが危険な状態の指標になりうることを示唆する結果と言えそうです。
執筆者
Effect of Urate-lowering Therapy on the Risk of Cardiovascular Disease and All-cause Mortality in Patients withGout: A Case-matched Cohort Study.
J Rheumatol. 2015 Jun 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26077411]
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