2015.06.30 | ニュース

痛風放置は危険!尿酸を下げる治療をしない人では死亡率が高かった

台湾4万人のコホート研究

from The Journal of rheumatology

痛風放置は危険!尿酸を下げる治療をしない人では死亡率が高かったの写真

関節炎を特徴とする痛風は、心筋梗塞などの心血管疾患や、腎障害とも関係があると考えられています。原因は血液中に尿酸という物質が多くなることとされ、薬で尿酸を減らす治療が行われます。台湾の研究班が、痛風のある人で尿酸を減らす治療を受けていた場合と受けていなかった場合を比較し、治療を受けない場合に心血管疾患による死亡を含め、全体としての死亡率が高くなっていたことを報告しました。

◆台湾4万人を6.5年間追跡

研究班は次の対象者を追跡調査しました。

前向き症例マッチコホート研究において、17歳以上の台湾人の個人40,623人が6.5年間フォローされた。

台湾で約4万人の対象者を6.5年間追跡し、尿酸を下げる治療によって心血管疾患による死亡およびほかの死因による死亡に違いがあるかを統計解析しました。

 

◆痛風があると死亡率増、尿酸を下げないと死亡率増

解析から次の結果が得られました。

調整後、痛風のある患者は尿酸抑制治療を受けていない場合、マッチされた痛風なし・尿酸抑制治療なしの対照患者に比べて心血管疾患死亡率(ハザード比2.43、95%信頼区間1.33-4.45)と全死因死亡率(1.45、1.05-2.00)が高かった。痛風があり尿酸抑制治療を受けていない患者に比べて、痛風があり尿酸抑制治療を受けていた患者は心血管疾患死亡率(0.29、0.11-0.80)、全死因死亡率(0.47、0.29-0.79)が低かった。

痛風がある人は、ない人に比べて死亡率が高く、痛風がある人の間では尿酸を下げる治療を受けていなかった人の死亡率が、尿酸を下げる治療を受けていた人に比べて高くなっていました。心血管疾患による死亡に限っても、すべての死因による死亡についても同様でした。

 

この研究の方法では、痛風が長期間治療されなかった背景にほかの原因があり死亡率を高くしていた可能性を否定できません。その可能性を踏まえても、痛風を治療しないということが危険な状態の指標になりうることを示唆する結果と言えそうです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of Urate-lowering Therapy on the Risk of Cardiovascular Disease and All-cause Mortality in Patients withGout: A Case-matched Cohort Study.

J Rheumatol. 2015 Jun 15 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26077411]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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