◆文献から52件の研究を比較
研究班は、文献検索で見つかった52件の研究論文で、合計3,805人の対象者について行われた9種類の精神療法の報告を検証してまとめました。
◆対人関係療法と認知行動療法が優位
次の結果が得られました。
治療直後では、対人関係療法と認知行動療法だけが、多くの対照条件に比べてより有効だった(標準化平均差-0.47から-0.96)。
フォローアップ中には、対人関係療法と認知行動療法が多くの対照条件に比べてより有効であり(標準化平均差-0.26から-1.05)、対人関係療法だけが短期フォローと長期フォローの両方で優位性を保っていた。
忍容性については、対人関係療法と問題解決療法が、認知療法および認知行動療法に比べて、すべての原因による治療中止が有意に少なかった(オッズ比0.06から0.33)。
対人関係療法と認知行動療法が、多くの場合で、治療直後にもフォロー期間中にも有効と見られました。対人関係療法は治療後短期のフォロー、長期のフォローでも有効と見られ、また認知行動療法に比べて治療を途中で中止する割合が少なくなっていました。
研究班は、「これらのデータは対人関係療法と認知行動療法が子どもと青年のうつ症状に対して利用可能な最良の精神療法と考えられるべきことを示唆する」と結論しています。
対人関係療法、認知行動療法はともに日本でも行われています。抗うつ薬を含めたほかの治療法とともに、良い面を生かして今後も使われていくかもしれません。
執筆者
Comparative efficacy and acceptability of psychotherapies for depression in children and adolescents: A systematic review and network meta-analysis.
World Psychiatry. 2015 Jun
[PMID: 26043339]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。