手術室で働いているのは、医師と看護師だけだと思っていた方も多いでしょう。実際にはそうでは無いのです。手術室では、様々な職種の医療スタッフが働いています。何の職種の人が、どんな役割を担っているのか、職種ごとに解説します。
◆医師
これは当たり前ですね。医師がいなければ手術は成り立ちません。手術の規模によりますが、一回の手術に基本的に3人前後の医師が入ります。医師の中でも、チーム内で役割があります。
- 執刀医:メインで手術を執刀する、いわゆるチームのリーダーとなる医師
- 第一助手:前立ちと言われ、執刀医の前に立って執刀医の動きをサポートする医師
- 第二助手:執刀医と第一助手がスムーズに手術を進められるよう、第一助手よりも広い視野で手術をサポートする医師
◆看護師
一回の手術に、2人前後の看護師が入ります。看護師にも役割があります。
- 器械出し看護師:医師に手術に使用する器械を手渡し、手術の進行を直接的にサポートする看護師
- 外回り看護師:手術の進行に関わる雑務を担当し、手術の進行を間接的にサポートする看護師
◆臨床工学技士
医療機器の操作やメンテナンスなどを担当します。また、心臓の手術で、開心術(心臓自体を切って開く、心臓の内側の病気に対する手術)の際には人工心肺の操作も担当します。
◆放射線技師
整形外科などの手術において、手術中にレントゲン撮影を行う場合があります。この時、放射線技師が手術室内でポータブルのレントゲン撮影機を用いて、レントゲン撮影を担当します。
◆看護助手
手術終了後の手術室内の掃除や、使用した手術用器械の洗浄、滅菌などを担当します。
◆医療事務
いわゆるクラークで、実際に手術室に入って手術に携わる事はありませんが、手術室外で手術に関する様々な事務作業を担当します。
もちろん、手術室以外の医療従事者(例えば、病棟看護師や薬剤師など)とも連携することは多々ありますが、今回は手術室内で働くスタッフに限定して解説しました。
(※医師、看護師以外の職種は、施設の規模や手術の規模によっては関わりの無い職種もあります。)
◆大切なのはチームプレイ
以上のように、多種多様な業種の医療従事者が関わって、チームとして手術を支えています。この「チームとして」というのが重要で、各自が個人プレーで独立しては最大限の力が発揮されません。患者さんが安心して、最良の手術を受けられるよう、それぞれがコミュニケーションを取り合って同じ目標に向かって協力し合い、手術が行われています。
もちろん、患者さん自身もそのチームの一員であり、ある意味リーダーです。患者さんが病気と闘う気持ちこそがチームの原動力となり、チームの目標となります。主役は医師でも看護師でもなく、患者さん本人なのです。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。