2015.06.23 | コラム

オペ室ナースって何?

手術を支えるナース

オペ室ナースって何?の写真

「オペ室ナースです」と言うと、「どうしたらオペ室ナースになれるの?何してるの?」と聞かれることがあります。オペ室ナースとは何か?役割やオペ室ナースのなり方など解説します。

◆オペ室ナースの役割は?

オペ室ナースは、呼称の通り、オペの介助を担当するナースです。手術室看護師、オペナース、オペ看、スクラブナース(手術に入る際に手を洗うことから)など、さまざまな呼び方があります。オペの介助とは、具体的にどういうことなのでしょうか?

オペの介助には、大きく分けると”外回り”と”器械出し”の2種類あります。

よく医療ドラマでみる、「メスっ!」と言われて「はいっ」とメスを渡す看護師、これが”器械出し”の看護師です。また「汗っ!」と言われて「はいっ」と汗を拭く看護師、これが”外回り”の看護師です。それぞれの役割を簡単に解説します。

 

◆器械出し看護師

「メスっ!」と言われてメスを渡すことからもわかるように、手術に必要な器械を準備し、医師に渡したりすることが器械出しの役割です。医師と同様に清潔なガウンを着て手袋を装着し、医師の横で一緒に手術野(手術している場所)を見ながら介助します。

具体的な仕事内容としては、行われる手術によって必要な物品を考え、事前に集めます。この物品とは、メスやハサミ、セッシ(ピンセット)などの器械や、電気メスなどの医療用電気機器、切ったところを縫ったり血が出ているところを糸で結んだりするための針や糸、血を拭くためのガーゼなどの衛生材料など、ここに挙げたものはほんの一部に過ぎず、手術に合わせて多種多様な物品や器械が準備されます。

準備した物品を、手術が始まる前までに、清潔な状態で患者さんにすぐ使用できるようにセッティングします。

そして術中は、手術の進行や先生の動きを読み、手術野の状況を把握しながら、より迅速に、より正確に器械を渡したり、手術野の整理整頓をします。この時は、いかに医師たちが手術しやすいかを先回りして考え、コミュニケーションをとり、スムーズな手術の進行を重視します。医師たちが手術に集中することが、正確で安全な手術の進行や手術時間の短縮につながり、患者さんにメリットをもたらします。

また、終了前までに、物品の紛失や器械の破損がないか点検し、患者さんの体内に忘れ物がないかどうかチェックします。患者さんの体内に器械や衛生材料などを残してしまうと、その異物と体の中の組織がくっついてしまい、炎症や痛みを引き起こす原因となったりするため、このチェックはとても重要で、チームで一体となって行います。

器械出しは、非常に神経を使ううえに長時間立ちっぱなしなことが多いため、緊張や疲労が強い仕事ですが、何のトラブルもなくスムーズに手術を終えた後はやりがいを感じるものです(ナースによって、時と場合によって、感じ方の個人差はあると思いますが…)。

 

◆外回り看護師

器械出し看護師が手術野で介助する一方、呼び名の通り、外から、回りから、手術をサポートするのが外回り看護師の役割です。

外から、回りから、とはどういう意味かというと、患者さんの身の回りの観察や処置、手術進行に合わせた必要物品の準備、麻酔の介助、手術記録の記載、コストチェック、安全確認(例えば、術中患者さんの体が不自然な体勢になっていないかなど)、出血量のチェック、時には医師の汗を拭くといった、多岐にわたるサポートを行っています。器械出し看護師が一点集中型なのに対して、外回り看護師は広い視野で手術をサポートします。

外回りは、さまざまなトラブルや急変に対応できる知識や技術が必要で、時にはその場をリードする必要もあるため、臨機応変に対応できるリーダーシップ能力も必要となってきます。

 

◆どうやったらオペ室ナースになれるの?

看護師の方は、配属希望や異動願いを出して下さい。看護師でない方は看護師免許を取得して下さい。

というのも、オペ室ナースも病棟ナースも外来ナースも検査室ナースも、みんな同じ看護師の国家資格であり、特に他の資格は必要ありません。看護師の資格を持っていれば、基本的には経験問わず、男女問わず、オペ室ナースになれる可能性があるのです。配属されて一から勉強して手術に関する知識と技術を身につけます。

施設によっては、病棟や外来などとの兼任の場合もあり、今後オペ室ナースになりたいと考えている人は、その施設の勤務形態をあらかじめ調査しておくことをお勧めします。

 

オペ室ナースは、ある意味特殊技能であり、一人が一人前に成長するまでに時間がかかります。また、患者さんと直接コミュニケーションをとって信頼関係を構築することが難しかったり、患者さんから「ありがとう」と直接言われる事もあまり無いために、やりがいや達成感を感じるようになるまでに時間がかかる可能性があります。

しかし、手術という人生の一大事に、陰ながらとはいえ患者さんの一番近くで密にサポートできる事は看護師として大きな意味があり、とてもやりがいのある素敵な仕事だと私は思います。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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