◆2,418人を5年間治療
研究班は、軽度から中等度のアトピー性皮膚炎がある2,418人の子どもを対象に、次の試験を行いました。
児童はピメクロリムス群(1,205人、増悪時には短期間の局所ステロイド薬を併用)または局所ステロイド群(1,213人)にランダムに割り付けられた。
対象となった子どもはランダムにピメクロリムスのグループかステロイド薬のグループに振り分けられ、5年間にわたってそれぞれの薬品の治療を受けました。ピメクロリムスのグループでは、症状に応じて短期間だけステロイド薬を併用することも認められました。
治療によって、Investigator Global Assessmentという診断基準で症状が「ない」または「ほとんどない」とされた場合を治療成功としました。
◆顔の症状に対して95%の治療成功
5年間の治療の結果は以下のとおりでした。
ピメクロリムス群、局所ステロイド群ともに、50%を超える患者に対して3週間以内に治療成功を達成するという素早い作用の出現を示した。治療開始5年後には、どちらの群でも85%を超える患者が全身の、95%の患者が顔の症状に対する治療成功を達成した状態にあった。ピメクロリムス群では局所ステロイド群よりもステロイドを使う必要のあった日数が少なかった(7 vs 178)。有害事象の内容と頻度は2群で似通っており、どちらの群でも体液性免疫または細胞性免疫の障害を示す事象は見られなかった。
どちらのグループでも、半分を超える対象者が3週間以内に治療成功の基準に届くだけの効果がありました。
5年後には、どちらのグループでも、全身の症状に対して85%以上、顔の症状に対しては95%で、治療成功となっていました。
どちらのグループでも、免疫のしくみに悪い影響は見つかりませんでした。
研究班は「軽度から中等度の小児のアトピー性皮膚炎に対して、ピメクロリムスまたは局所ステロイド薬による長期管理は、免疫系に何の影響も与えることなく、安全であった」と述べています。
ピメクロリムスは日本では承認されていませんが、近い種類の免疫抑制薬がアトピー性皮膚炎に処方されることがあります。使っている薬の効果や副作用が気になる方は、医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
執筆者
Safety and efficacy of pimecrolimus in atopic dermatitis: a 5-year randomized trial.
Pediatrics. 2015 Apr
[PMID: 25802354]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。