◆血管運動症状と骨折の関連性を検討
今回の研究は、50-79歳で閉経後のホルモン治療を受けていないWomen’s Health Initiative Clinical Trialへの参加者23,573人のデータと、骨密度の研究への参加者4,867人のデータを分析し、閉経後の血管運動症状とその後の骨折の発生、骨密度との関連性を検討しました。
◆血管運動症状がある人は骨密度が低く股関節骨折が多い
調査の結果、以下の関連が見つかりました。
ベースラインの年齢、体格指数、人種/民族、喫煙、教育歴を調整した場合に、ベースラインの血管運動症状が中等度または重度であった女性は、血管運動症状がない女性と比べて、股関節骨折となるハザード比が1.78(95%信頼区間1.20-2.64、p=0.01)であった。
血管運動症状と椎体骨折には関連性が認められなかった。
ということで、追跡開始時に血管運動症状があった場合、その後の股関節骨折のリスクが高くなる一方、椎体骨折(背骨の骨折、背骨が上下に押しつぶされるように折れることが多い)とは統計的に関連が見られなかったという結果でした。
骨密度に関しては、以下の結果となりました。
血管運動症状の重症度は、追跡期間中の骨密度と関連があった(大腿骨頚部:p=0.004、腰椎:p=0.045)。
背骨の骨密度は血管運動症状がある人では低いという関連がありました。
筆者らは、「この関連を引き起こす生物学的メカニズムの解明が、骨折前のリスクを持った女性への予防戦略を考慮するうえで役立つ」と述べています。
この結果は、高齢女性でほてりがある場合、骨粗しょう症や骨折のリスクを予測することができる、という解釈もできそうです。医師の方々はどのように思われますか?
執筆者
Associations of menopausal vasomotor symptoms with fracture incidence.
J Clin Endocrinol Metab. 2015 Feb
[PMID: 25522264]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。