2015.05.18 | ニュース

妊娠中も喫煙し続けると娘の初潮が早かった

豪研究チームが女児1,493名を分析

from Human reproduction (Oxford, England)

妊娠中も喫煙し続けると娘の初潮が早かったの写真

子どもの頃に置かれた環境が、その後の子どもの身体にどのような影響を及ぼすのか、様々な研究が報告されています。そのなかでも、「胎児期に置かれた環境についての研究は数が少ない」ようです。今回の研究では、女児の初潮年齢に影響する環境要因を検討し、胎児期に母親が喫煙をしていると、初潮年齢がより早くなってしまう可能性を報告しています。

◆妊娠中喫煙と母親の体重が子どもの初潮年齢と関連するか検討

この研究の対象者は、オーストラリアの大規模研究で登録されていた女児1,493名でした。

オーストラリアの子どもの大規模コホートから得られた、出生から12-13歳のデータを用いて、縦断調査を行った。

欠測データを除いた、1,493名の女児が最終的な解析に含まれた。

Cox回帰分析を用いて、妊娠中の喫煙と出生時の体重がどのように女児の初潮年齢に影響するか検討した。

 

◆初潮年齢には妊娠中喫煙が関連

調査の結果、以下のことがわかりました。

母親の初潮が遅く(ハザード比0.75、95%信頼区間0.71-0.79)、出生時体重が重いほど(ハザード比0.86、95%信頼区間0.75-0.97)、初潮が早くなる確率は低かった。

一方、8-9歳の女児の体格指数が大きい場合は標準的な体格指数の場合に比べて(ハザード比1.12、95%信頼区間1.10-1.15)、母親が妊娠中にほとんどの日で喫煙をしていた場合(ハザード比1.40、95%信頼区間1.10-1.79)はまったく喫煙しなかった場合に比べて、初潮年齢を早くする確率が高かった。

胎児期に置かれた環境として、母親が喫煙している場合、特に妊娠中のほとんどの日で喫煙をしていると、女児の初潮年齢を早める可能性が高いことが判明しました。

著者らは、この研究結果をうけて、以下のように解釈をしています。

初潮年齢の早さと子宮がん、子宮内膜がん、乳がんのリスクが関連していることから、重要な健康リスクとして妊娠中の喫煙曝露によるストレスを考慮する必要が示唆された。

妊娠中の喫煙習慣によって、初潮年齢の早期化を通して、がんのリスクを高める可能性があるかもしれないという意見です。

 

妊娠中の喫煙は、母親自身はもちろん、子どもの将来に重大な問題を起こす可能性があります。妊娠という大変な状態は、お母さんにとってストレスになり、たばこを吸いたくなることもあると思います。しかし、お腹の赤ちゃんのことを考えると、禁煙環境に配慮する必要があるかもしれません。

実際にどのような影響があるのか、この研究では推論にとどまりますが、母親の喫煙と子どもの発病の関連そのものを調べた研究が加われば、より明確な根拠になりそうです。

執筆者

MT

参考文献

Prenatal smoking and age at menarche: influence of the prenatal environment on the timing of puberty.

Hum Reprod. 2015 Apr ​

[PMID: 25740885]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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