◆アセトアミノフェンと偽薬のランダム化研究を調査
研究チームは、論文データベースから腰の痛み、変形性膝関節症、変形性股関節症に対して、「アセトアミノフェン」の効果と安全性を偽薬と比較したランダム化研究」を集めて評価し、痛みと障害、生活の質(QOL)のデータを分析しました。
◆腰痛に効果なし、関節炎には臨床的な効果はなし?
結果は以下のとおりになりました。
12件の研究(13件のランダム化試験)が採用された。
質が高いエビデンスは、アセトアミノフェンが腰痛患者の痛みの程度の緩和(加重平均の差 -0.5, 95%信頼区間 -2.9から1.9)、障害の改善(0.4, -1.7から2.5)、QOLの向上 (0.4, -0.9 to 1.7)に短期間では効果がなかったと示した。
質が高いエビデンスによって、臨床的には重要ではないが、変形性股関節症や変形性膝関節症に対してアセトアミノフェンが痛み(-3.7, -5.5から-1.9)や障害(-2.9, -4.9から-0.9)に短期的に有意な影響を与えたことが示された。
質の高いエビデンスによって、アセトアミノフェンの使用で、臨床的に重要な影響か定かではないものの、肝機能の検査で異常な結果が現れることが4倍近く多いことが示された(3.8, 1.9から7.4)。
アセトアミノフェンは腰痛に対して効果がなく、変形性股関節症、変形性膝関節症のある患者に対しては短期間において効果があったものの「臨床的に重要でない」結果でした。
研究チームは、「これらの結果は、臨床診療ガイドラインが腰痛患者や変形性股関節症、変形性膝関節症に対するアセトアミノフェンの使用を推奨することの見直しを支持する」と述べています。
腰痛や変形性関節症の痛みに対して、痛み止めであるはずのアセトアミノフェンが効かないか、効いても効果はわずかという結果となりました。
実際に診療されている医師の皆さんは、痛み止めの効果についてどのように感じているのでしょうか?
執筆者
Efficacy and safety of paracetamol for spinal pain and osteoarthritis: systematic review and meta-analysis of randomised placebo controlled trials.
BMJ. 2015 Mar 31
[PMID: 25828856]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。