◆兄姉を持つ児童、約10万人を対象とした統計調査
すでにこれまでも様々な論文でMMRワクチンとASDとの間に相関がないことが示されてきました。しかし、アメリカではいまだ自分の子どもにMMRワクチンを接種させたがらない親が多くいます。
今回、アメリカの研究グループはMMRワクチン接種とASD発症リスクの相関関係を調べるため、大規模な保険データベースを用い、兄または姉を持つ児童の集団を対象として調査を行いました。
◆MMRワクチン接種とASDの関連は高リスク児童にも認められず
兄または姉を持つ児童95,727人のうち、ASDと診断されたのは994人(1.04%)でした。ASDのある兄または姉を持つ児童は、そうでない児童に比べ、ASDを発症するリスクが高いことが分かりました。
しかし、兄または姉がASDを発症しているかどうかに関わらず、MMRワクチン接種の有無、接種した年齢、回数は、ASDのリスクと関連がみられませんでした。
今回の調査では、MMRワクチン接種とASDのリスクに相関はなく、ASDのリスクが高い児童の場合でも同様であることが示されました。
あらゆるワクチンにおいて、その有効性と危険性は議論されています。この結果は今後、小さな子供を持つ親の行動をどのように変えていくでしょうか。
ワクチン接種の危険性と安全性に関しては、明らかになっていない点もありますが、様々なリスクと向き合いながらより適切な判断を行っていく必要がありそうです。
執筆者
Autism Occurrence by MMR Vaccine Status Among US Children With Older Siblings With and Without Autism.
JAMA. 2015 Apr 21
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。