◆イギリスでは認知症患者67万人が家族介護を受けている?
イギリスでは認知症患者の約3分の2が、家族の介護を受けていると言われています。認知症介護による家族のうつ病発症は問題であり、さらに認知症ケアのコストも膨大な額になることが予想されています。
今回、ロンドン大学の研究者たちが、認知症患者の家族介護者260名を対象に、介護者の心理的状況を改善するためのSTART(家族のための戦略)プログラムを実施し、その効果を検証しました。
STARTプログラムは、介護者のストレスや後ろ向きな考え方に対する対処法など、ストレス対処行動の適切な方法を介護者に教育するものです。STARTプログラムは家族介護者173名に行われ、残りの87名には通常どおり認知症患者への治療が実施されました。
◆STARTプログラムでうつ病患者を4分の1に!?
調査の結果、STARTプログラムを受けた家族介護者は、うつ病を発症する割合が約4分の1となることが判明しました。
さらに、介護者の生活の質(QOL)も向上させる効果や認知症ケアのコスト削減効果が示され、全体を通してSTARTプログラムの有効性が認められたと報告されています。
認知症ケアは、日本においても非常に重要視されています。
(介護うつの現状、予防方法についてはこちら。「頑張る人ほどなりやすい・・・介護うつにご注意を」
http://news.kaigonohonne.com/article/340)
特に介護者への配慮は必須です。今回の研究結果をうけて、臨床や地域においてどのように取り組んでいけばよいか議論が待たれます。
執筆者
Long-term clinical and cost-effectiveness of psychological intervention for family carers of people with dementia: a single-blind, randomised, controlled trial.
Lancet Phychiatry. 2014 Dec
[PMID: 26361313 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。