◆「虫歯を予防する奇跡の甘味料」はホント?ウソ?過去の研究データを英国大学が調査
キシリトールの虫歯予防効果に関する研究が世界ではじめて発表されてから間もなく40年が経とうとしています。キシリトールの虫歯予防に関する臨床研究は、これまでWHO主導のもと世界各国で行われてきました。
今回、イギリスの国際研究機関「コクラン共同計画」はマンチェスター大学歯学部と共同で、そうした過去の臨床研究を精査し、新たに以下の評価報告を行いました。
◆過去の研究データの9割は公平性に欠ける内容であったことが判明
論文著者への聞き取り調査を含むデータ解析の結果、計5,903人を対象とした過去10件の研究データのうち、9件が公平性に欠ける、あるいは公平性が不明であると評価されました。
最もバイアスリスクが少ないと判断されたコスタリカの事例(キシリトール配合のフッ素歯磨き粉が、そうでない歯磨き粉に比べ、むし歯の減少に約13%の効果があったという報告)においても、エビデンスとして質が低く、キシリトール製品の効果を決定づけるには不十分なデータであったと結論づけられました。
また、一部の論文では、キシリトールの副作用(口のしびれやけいれん、膨満感や下痢など)について全く触れられていない報告もあったと指摘しています。
虫歯予防効果が十分に実証されていないというキシリトールですが、大量に摂取するとお腹がゆるくなったり、逆に便秘になることもあります。摂り過ぎには注意が必要かも知れません。
執筆者
Xylitol-containing products for preventing dental caries in children and adults.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Mar 26
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。