2017.01.20 | ニュース

2位は体操、高校スポーツで競技別けがの調査

アメリカの全国統計から

from The American journal of sports medicine

2位は体操、高校スポーツで競技別けがの調査の写真

スポーツにけがは付き物です。高校生がけがで競技を離れてしまうこともよくあります。性別・競技別に、けがの種類、けがをした状況などの統計調査が行われました。

アメリカのコロラド大学の研究班が、高校生のスポーツで起こったけがの統計を『American Journal of Sports Medicine』に報告しました。

この研究は、アメリカ全国で行われている、高校生のスポーツのけがの調査データを利用しています。調査対象とするスポーツが行われている高校から一部が選ばれ、高校ごとのトレーナーから毎週報告されたけがの情報が集計されました。報告されたけがのうち、この解析では特に重症でそのシーズンまたはキャリアを終えさせたけがに着目しました。

 

スポーツに参加した回数あたりに換算すると、重いけがが多いスポーツは以下のものでした。

フットボールで最も負傷率が高く(10万人・機会あたり26.5)、次いで体操(18.6)、レスリング(17.9)だった。

男子のアメリカンフットボール、女子の体操、男子のレスリングで特に多くけがが発生していました。

競技別で最も多いけがの種類と、けがをしたときの状況で最も多かったものは以下のとおりでした。(必ずしも怪我の種類と怪我の状況は厳密に対応していませんでした。)

  • 男子
    • 野球
      • 種類:手の骨折(15件、13%)
      • 状況:投球(19%)
    • バスケットボール
      • 種類:膝の捻挫(46件、25%)
      • 状況:リバウンド(24%)
    • クロスカントリー
      • 種類:下腿疲労骨折(2件、33%)
      • 状況:走る(60%)
    • フットボール
      • 種類:膝の捻挫(345件、22%)
      • 状況:タックルを受ける(30%)
    • アイスホッケー
      • 種類:鎖骨骨折(7件、16%)
      • 状況:チェックされる(39%)
    • ラクロス
      • 種類:膝の捻挫(28件、27%)
      • 状況:一般的なプレイ(14%)
    • サッカー
      • 種類:膝の捻挫(58件、25%)
      • 状況:一般的なプレイ(18%)
    • 水泳
      • 種類:下腿剥離骨折(1件、100%)
      • 状況:その他(100%)
    • 陸上競技
      • 種類:膝軟骨損傷(4件、13%)
      • 状況:1600m走(14%)、棒高跳び(14%)
    • バレーボール
      • 種類:足首捻挫(1件、100%)
      • 状況:ブロック(100%)
    • レスリング
      • 種類:膝の捻挫(39件、11%)
      • 状況:テイクダウン(52%)
  • 女子
    • ソフトボール
      • 種類:膝の捻挫(22件、21%)
      • 状況:野手が打球を捕る(21%)
    • バスケットボール
      • 種類:膝の捻挫(125件、52%)
      • 状況:リバウンド(17%)
    • クロスカントリー
      • 種類:股関節腱炎(2件、14%)
      • 状況:走る(77%)
    • 体操
      • 種類:膝の捻挫(5件、33%)
      • 状況:タンブリング(43%)
    • フィールドホッケー
      • 種類:膝の捻挫(13件、36%)
      • 状況:一般的なプレイ(34%)
    • ラクロス
      • 種類:膝の捻挫(20件、45%)
      • 状況:一般的なプレイ(36%)
    • サッカー
      • 種類:膝の捻挫(144件、46%)
      • 状況:一般的なプレイ(20%)
    • 水泳
      • 種類:脳震盪(2件、67%)
      • 状況:100m自由形(33%)、1m飛び込み(33%)
    • 陸上競技
      • 種類:膝の捻挫(14件、22%)
      • 状況:100m33インチハードル(13%)
    • バレーボール
      • 種類:膝の捻挫(28件、34%)
      • 状況:ブロック(31%)
    • チアリーディング
      • 種類:膝の捻挫(5件、13%)
      • 状況:スタンツ(トス、リフトなど)(19%)

研究班は「これらの結果から、狙いを絞った負傷予防の努力を開発し、実践し、評価するためのさらなる研究が促されるべきである」と述べています。

 

高校生のスポーツによるけがの統計を紹介しました。競技ごとに重いけがにつながりやすい状況が絞られることで、けが予防のための工夫につなげることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Epidemiology of High School Sports-Related Injuries Resulting in Medical Disqualification: 2005-2006 Through 2013-2014 Academic Years.

Am J Sports Med. 2016 Nov.

[PMID: 27166289]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る