2016.03.09 | ニュース

「乾癬」による頭皮の炎症、どの薬が効いた?

文献からステロイドとビタミンDを比較

from The Cochrane database of systematic reviews

「乾癬」による頭皮の炎症、どの薬が効いた?の写真

乾癬は免疫の異常により、皮膚が赤くカサカサになる症状を起こします。ひじやひざのほか、頭皮にもよく症状が現れます。治療に従来よく使われている2種類の薬について、これまでの研究報告をもとに効果が比較されました。

◆頭皮の乾癬にステロイドとビタミンDは効いたか?

この報告では、頭皮の乾癬に対する治療の効果が検討されました。文献の調査により、治療の効果を調べた研究の報告が集められました。

見つかった59件の研究のうちで、ステロイド外用剤とビタミンD外用剤、またそれらの併用についての結果がまとめられました。

 

◆併用で効果増、副作用は増えない

次の結果が得られました。

統計的に、2成分併用治療はステロイド単独治療よりも優れていた。ただし追加される利益はわずかだった(リスク比1.22、95%信頼区間1.08-1.36、4件の研究、参加者計2,474人、NNTB=17、95%信頼区間11-41、中等度の質のエビデンス)。2成分併用治療はビタミンD単独治療よりも有効だった(リスク比2.28、95%信頼区間1.87-2.78、4件の研究、参加者計2,008人、NNTB=6、95%信頼区間5-7、高い質のエビデンス)。

ステロイド外用剤のほうがビタミンD外用剤よりも効果が大きく、またステロイド外用剤を単独で使うよりも、2剤を併用したほうがわずかに効果が大きいという結果でした。

副作用について次の結果が得られました。

2成分併用治療とステロイド単独治療は治療中止に至る有害事象の数に差がなかった(リスク比0.88、95%信頼区間0.42-1.88、3件の研究、参加者計2,433人、中等度の質のエビデンス)。2成分併用治療はビタミンDよりも有害事象による治療中止が少なかった(リスク比0.19、95%信頼区間0.11-0.36、3件の研究、参加者計1,970人、高い質のエビデンス)。

これら3種類の介入によって頻繁に見られた有害事象は、局所の刺激、皮膚の痛みと毛嚢炎だった。全身の有害事象はまれであり、おそらく薬剤関連ではなかった。

ステロイド外用剤、ビタミンD外用剤、またはその併用により、薬を使った場所の刺激症状、皮膚の痛み、毛嚢炎などが見られました。明らかに副作用が原因で全身症状を起こした例は見つかりませんでした。2剤併用しても副作用が増えるというデータは見られませんでした

研究班は「安全性プロファイルが類似していることと、2成分併用治療がステロイド単独治療に加える利益が小さいことを考えると、ジェネリックの局所ステロイド薬による単独治療が短期的治療として最も妥当である」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Topical treatments for scalp psoriasis.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Feb 26

[PMID: 26915340]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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