2016.02.17 | ニュース

高齢者の運転、目の病気で特に危険

アラバマ州70歳以上の調査から

from Ophthalmology

高齢者の運転、目の病気で特に危険の写真

高齢者が自動車を運転するときには特に注意するべき点があります。中でも視覚の異常に着目した研究が行われました。

◆70歳以上で運転する人

研究班は、アラバマ州北中部に住む70歳以上で自動車を運転している人2,000人を対象に、直前5年間で過失による自動車衝突事故があったかを調べました。あわせて視覚の検査を行い、視覚の状態と事故の頻度に関連があるか、統計解析により検討しました。

 

◆緑内障、左視野障害で事故増

次の結果が得られました。

緑内障のある運転者(206人)は、緑内障がない人と比較して、年齢と精神状態で調整したのち、自動車衝突事故の率が1.65倍高かった(95%信頼区間1.20-2.28、P=0.002)。

視野を6領域に分割して(上、下、左、右の視野と水平線、垂直線)検討した場合、左、上、下の視野障害は自動車衝突事故の率が高いことと関連し、左視野の障害がほかの領域と比べて最も高い率比を示した(3.16、P=0.001)。

緑内障がある人で、5年以内に事故を経験していた人が多くいました。また、視野の左の部分がよく見えない人で、事故が多くなっていました

 

緑内障では視野の中に見えない部分ができ、進行すると失明にもつながります。しかし、徐々に進行するため、視野がかなり狭くなるまで症状に気付かないことがあります。この研究が行われたアラバマ州では自動車は右側通行なので、左視野が見えにくいのに運転を続けていると、対向車線などの確認に問題があったのかもしれません。

事故防止のためには健康状態との関係も大切な要素です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association between Glaucoma and At-fault Motor Vehicle Collision Involvement among Older Drivers: A Population-based Study.

Ophthalmology. 2016 Jan.

[PMID: 26459997]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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