2016.02.06 | ニュース

乳がん治療の危険性は医師から十分に話されていないかもしれない

145人を対象にして調査

from Annals of surgery

乳がん治療の危険性は医師から十分に話されていないかもしれないの写真

乳がんの手術によって乳房を失った場合、治療の選択肢として乳房再建があります。患者が乳房再建を決断する時に適切な情報が与えられているのでしょうか?乳がんの手術を計画している患者を対象に調査されました。

◆乳房再建の利点とリスクの情報提供

乳房再建は乳がんの手術により乳房を失った場合に行われます。皮膚の下にシリコンなどを植え込む方法、自分の体の別の場所から組織を移動して元の形を復元する方法があります。

今回の調査では、乳房切除術(乳がんを取り除くための手術)を計画している145人の患者が対象とされました。対象者は手術を受ける前に乳房再建の知識アンケート、また、意思決定にどれほど関わっているのかをアンケートで答えました。

 

◆乳房再建の情報不足

次の結果が得られました。

知識の総点数は100%中58.5%だった。合併症のリスクの知識が14.3%と、得に低かった。

ほとんどの患者(92.1%)は医師と乳房再建について話し合い、そして90.4%の患者が乳房再建を受けたいか、受けたくないか聞かれた。乳房再建の利点を話し合った患者(57.9%)のほうが不利な点を話しあった患者(27.8%)より多かった。

患者の乳房再建の知識は高くなかったこと、そして、乳房再建の欠点を医師と話し合った人は27.8%にとどまることが報告されました。

 

患者がより良い決断を下すために治療の利点と欠点を知っておく事は重要です。しかし、今回の研究では患者が医師と話し合うときに利点を中心に話し合いがされました。治療について話し合う時は利点だけでなく、欠点を知っておけるよう、医師の努力も必要かもしれません。

 

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

How Informed Is the Decision About Breast Reconstruction After Mastectomy?: A Prospective, Cross-sectional Study.

Ann Surg. 2015 Dec 31. [Epub ahead of print]

[PMID: 26727092]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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