◆歯周病の治療で糖尿病を改善?
これまで多くの研究で、歯周病と糖尿病の関連性が検証され、歯周病に関連している口の中の細菌が活動することで全身に影響が引き起こされ、血糖値を下げるインスリンの働きを邪魔するといったことが報告されています。
今回の研究では、過去の35の研究をまとめ、1型糖尿病と2型糖尿病の患者を対象に、歯周病の治療が糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cに影響するか検証しました。歯周病の治療は、口の中の傷付いた組織を取り除くこと、手術、抗菌薬治療などを含みました。
◆歯周病を治療すると糖尿病の指標がわずかに改善
以下の結果が得られました。
14の研究(対象者1,499人)から得られた、積極的な介入をしない場合または通常ケアと歯周病治療を比較した質の低い根拠では、平均HbA1c値は治療の3から4ヶ月後で0.29%低く(95%信頼区間-0.48%から-0.10%)、6ヶ月後では0.02%低かった(5つの研究、対象者826人、95%信頼区間-0.20%から0.16%)。
歯周病治療を行うと、3ヶ月後から4ヶ月後で糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cの値が改善するという結果でした。その効果は6ヶ月後では見られませんでした。
多くの研究からこのような結果が得られたことで、歯周病の治療には、糖尿病に対して良い影響があると考えてもいいかもしれません。
執筆者
Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes mellitus.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Nov 6
[PMID: 26545069]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。