◆アロプリノール治療群と通常治療群の効果を長期的に比較
アロプリノールは尿酸値を下げるために用いられる薬です。
対象者113人を、1日100mgのアロプリノール治療を行う群と通常治療を行う群に分け、2年間の治療による効果を比較しました。さらに、そのうちの107人については、さらに5年間の追跡調査を行いました。
この間に透析治療を開始するか、血液検査値により腎機能の悪化が見られたかによって、腎臓への効果を判断しました。また、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患についても調べました。
◆アロプリノール治療で慢性腎臓病の進行や心筋梗塞などの発症リスクが抑えられる
以下の結果が得られました。
[...]、初期および長期の追跡(中央値84ヶ月)の間、対照群では24人であったのに対し、アロプリノール群の9人が腎臓イベントを発症した(年齢、性別、ベースラインの腎機能、尿酸値、レニンアンジオテンシン系阻害薬で調整して、ハザード比0.32、95%信頼区間0.15-0.69、p=0.004)。
全体で、対照群では23人であったのに足し、アロプリノールで治療した患者は16人に心血管イベントが発症した(年齢、性別、ベースラインの腎機能で調整して、ハザード比0.43、95%信頼区間0.21-0.88、p=0.02)。
アロプリノール治療を行うと、腎機能の悪化や心血管疾患を発症する危険性が減少しました。
筆者らは、「長期的なアロプリノール治療は、腎臓病の進行率を遅くし、心血管系リスクを減少させる」と述べています。
尿酸値が高いことと慢性腎臓病の進行には関係があると言われています。尿酸値を下げる薬、アロプリノールで慢性腎臓病の進行を抑えられるのだとしたら、腎臓の治療戦略の中でアロプリノールの意義が考えられるべきかもしれません。今後の検証に期待します。
執筆者
Allopurinol and progression of CKD and cardiovascular events: long-term follow-up of a randomized clinical trial.
Am J Kidney Dis. 2015 Apr
[PMID: 25595565]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。