2015.09.05 | ニュース

胃炎や過敏性腸症候群の治療に、「四逆散」の効果が示すこととは

メタアナリシスで検証

from Medicine

胃炎や過敏性腸症候群の治療に、「四逆散」の効果が示すこととはの写真

漢方薬の四逆散は、胃腸の病気に有効と言われています。これまでの研究の調査から、各種の病気に対する効果がまとめられ、その背景についての考察とともに報告されました。

◆食道・胃・腸にわたる効果を調査

研究班は、これまでの研究を検索し、消化管の病気に対して四逆散の効果を調べたものを集めました。対象とする病気は、上部消化管障害(胃食道逆流、消化性潰瘍、慢性胃炎、十二指腸胃逆流)、下部消化管障害(過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎)、機能性ディスペプシアとしました。

 

◆上部消化管障害、下部消化管障害、機能性ディスペプシアに共通

見つかった研究のうち、解析に適したもののデータから、次の結果が得られました。

プールしたデータから、上部消化管障害(オッズ比3.9、95%信頼区間3.09-4.92)、下部消化管障害(オッズ比4.91、95%信頼区間3.71-6.51)、機能性ディスペプシア(2,989人、オッズ比3.94、95%信頼区間3.17-4.90)に対する四逆散の有意な有効性が示された。

四逆散は、上部消化管障害、下部消化管障害、機能性ディスペプシアのいずれについても有効と見られました。

このことから、研究班は「同じ四逆散の処方が一貫して有効であることは、消化管障害の病態発生に共通のメカニズムがあることを暗示する」と推論しています。

 

薬が効果を示すうえで、体の中でどんな物質とどんな反応を起こしているのかは正確にわかっていない場合もあります。ここで観察されたようなことを手掛かりに、病気が起こるしくみの解明と、新しい治療に結びつく研究のアイデアが生まれるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Common Mechanism of Pathogenesis in Gastrointestinal Diseases Implied by Consistent Efficacy of Single Chinese Medicine Formula: A PRISMA-Compliant Systematic Review and Meta-Analysis.

Medicine (Baltimore). 2015 Jul

[PMID: 26166106]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る