◆透析患者の死亡率に関連する栄養状態を調査
この研究は、7,719名の血液透析患者を対象に追跡調査を行い、死亡率と栄養状態の関係を検証しました。
栄養状態は、体格指数(BMI、体重÷身長の2乗)などを指標とし、調査開始時点と6ヶ月後の値の差を分析に使いました。
◆栄養状態が低いほど、死亡の危険が高まる
調査の結果、以下のことを報告しました。
6ヶ月の追跡期間で、BMI、血中アルブミン値、血中クレアチニン値の減少は、より高い死亡リスクと有意に関連していた。
最もBMIが低い4分位の患者は、最も高い4分位の患者のそれよりも、死亡リスクが60%高かった。
追跡期間中にBMIが低くなった人では、死亡する率が上がるという結果でした。また、BMIが低いほうから1/4の人は、BMIが高いほうから1/4の人よりも、死亡リスクが60%高くなっていました。
筆者らは、「これらの栄養状態の指標を改善する治療は、血液透析患者の生存に重要なインパクトを与えるかもしれない。」と述べています。
一見すると、体重が過剰な方が身体に悪そうですが、今回の研究ではその逆の結果となりました。腎臓が悪いときには違う考え方が必要なのかもしれません。
これらの結果を受けて、『慢性腎臓病患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドライン』では、適切な体重管理(BMI20~25)が推奨されています。
なお、透析をされている方は数日単位で(短期的に)体重の変動がある方も多くいらっしゃると思います。今回紹介した研究は、長期的な体重の管理について検討をしているものですので、短期的な体重管理とは異なることにご留意ください。
執筆者
Mortality risk in hemodialysis patients and changes in nutritional indicators: DOPPS.
Kidney Int. 2002 Dec
[PMID: 12427151]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。