2015.08.26 | ニュース

透析患者では、体重が軽すぎると死亡する危険性が高い?

7,719名を対象としたDOPPS研究

from Kidney international

透析患者では、体重が軽すぎると死亡する危険性が高い? の写真

『慢性腎臓病患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドライン』では、「健康的な体重(BMI20~25)に到達もしくは維持すること」、つまり体重を増やしすぎず減らしすぎない管理が推奨されています。その根拠のひとつとなる2002年の論文を紹介します。

◆透析患者の死亡率に関連する栄養状態を調査

この研究は、7,719名の血液透析患者を対象に追跡調査を行い、死亡率と栄養状態の関係を検証しました。

栄養状態は、体格指数(BMI、体重÷身長の2乗)などを指標とし、調査開始時点と6ヶ月後の値の差を分析に使いました。

 

◆栄養状態が低いほど、死亡の危険が高まる

調査の結果、以下のことを報告しました。

6ヶ月の追跡期間で、BMI、血中アルブミン値、血中クレアチニン値の減少は、より高い死亡リスクと有意に関連していた。

最もBMIが低い4分位の患者は、最も高い4分位の患者のそれよりも、死亡リスクが60%高かった。 

追跡期間中にBMIが低くなった人では、死亡する率が上がるという結果でした。また、BMIが低いほうから1/4の人は、BMIが高いほうから1/4の人よりも、死亡リスクが60%高くなっていました。

筆者らは、「これらの栄養状態の指標を改善する治療は、血液透析患者の生存に重要なインパクトを与えるかもしれない。」と述べています。

 

一見すると、体重が過剰な方が身体に悪そうですが、今回の研究ではその逆の結果となりました。腎臓が悪いときには違う考え方が必要なのかもしれません。

これらの結果を受けて、『慢性腎臓病患者の血圧管理のためのKDIGO診療ガイドライン』では、適切な体重管理(BMI20~25)が推奨されています。

なお、透析をされている方は数日単位で(短期的に)体重の変動がある方も多くいらっしゃると思います。今回紹介した研究は、長期的な体重の管理について検討をしているものですので、短期的な体重管理とは異なることにご留意ください。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Mortality risk in hemodialysis patients and changes in nutritional indicators: DOPPS.

Kidney Int. 2002 Dec

[PMID: 12427151]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る