2015.08.31 | ニュース

インフルエンザの治療薬ペラミビル、点滴でオセルタミビルに劣らない効果

1,091人を対象としたランダム化試験

from Antimicrobial agents and chemotherapy

インフルエンザの治療薬ペラミビル、点滴でオセルタミビルに劣らない効果の写真

インフルエンザの治療薬は、飲み薬や点滴などの種類があり、条件によって使い分けられます。今回、飲み薬・オセルタミビル(商品名タミフル)と点滴薬・ペラミビル(商品名ラピアクタ)の効果を比較した2011年の論文を紹介します。

◆インフルエンザ患者1,091人に対する薬の効果を比較

研究チームは、韓国、日本、台湾においてインフルエンザウイルスに感染した20歳以上の患者1,091人を比較調査の対象としました。

対象者がペラミビルまたはオセルタミビルを使用した時に、インフルエンザ症状の持続時間にどのような変化が見られるのかを調査、解析しました。

 

患者は、対象者を以下の3つの治療グループにランダムに振り分けました。
・300mgのペラミビルを1回点滴(364人)
・600mgのペラミビルを1回点滴(362人)
・75mgのオセルタミビルを5日間、1日2回服用(365人)

 


◆ペラミビルの効果はオセルタミビルに劣らなかった

解析の結果、以下のことが示されました。

それぞれの治療グループにおけるインフルエンザ症状の持続時間の中央値は、300mgペラミビルで78.0時間、600mgペラミビルで81.0時間、オセルタミビルで81.8時間だった。オセルタミビルのグループと比較して、ペラミビルのグループのハザード比は、300mgペラミビルで0.946(97.5%信頼区間:0.793-1.129)、600mgペラミビルで0.970(97.5%信頼区間:0.814-1.157)だった。

つまり、ペラミビルは、オセルタミビルに劣らない程度にインフルエンザ症状の持続時間を軽減させました。

 


ペラミビルは1回の点滴で効果を示したのに対して、オセルタミビルは5日間の服用が必要であり、治療方法や必要な期間が異なります。症状が重く薬を飲むことができない場合など、インフルエンザの治療薬を使い分けることでより全身の状態に適した治療ができるかもしれません。

ただし、インフルエンザに対して必要以上に抗ウイルス薬を使うことは、ウイルスが耐性化していざというときの治療が難しくなる恐れにもつながります。ほかの種類の治療ではなく点滴が本当に必要なのかどうか、よく考えて使うことも大切と思われます。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Phase Ⅲ randomized, double-bind study comparing single-dose intravenous peramivir with oral oseltamivir in patients with seasonal influenza virus infection.

Antimicrob Agents Chemother. 2011 Nov.

[PMID: 21825298]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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