2015.08.15 | ニュース

進行した膵臓がんの新治療を目指して、不可逆電気穿孔法の効果は

アメリカ200人の治療例

from Annals of surgery

進行した膵臓がんの新治療を目指して、不可逆電気穿孔法の効果はの写真

不可逆電気穿孔法は、組織に電流を流すことによりがん細胞を壊して治療をはかる方法で、がんの新しい治療法として研究されています。アメリカで進行した膵臓がん患者200人を治療した結果が報告されました。

◆ステージ3膵臓がんの治療に

研究班は、膵臓がんのうち比較的進行した「ステージ3」の患者を対象に、不可逆電気穿孔法を使って治療を行い、その後の経過をまとめました。

 

◆全員に施行成功、生存期間2年

次の結果が得られました。

局所進行膵臓がんの患者計200人が、不可逆電気穿孔法のみ(150人)または膵臓切除と断端効果増強のための不可逆電気穿孔法(50人)の治療を受けた。

不可逆電気穿孔法はすべての患者に対して成功下に行われた。患者の37%には持続的合併症があり、そのグレードの中央値は2(範囲1から5)だった。入院期間の中央値は6日(範囲4日から36日)だった。中央値29か月のフォローアップにおいて、6人の患者(3%)に局所再発があった。全生存期間の中央値は24.9か月(範囲4.9から85か月)だった。

対象となった200人の患者のうち150人は不可逆電気穿孔法だけで、50人は手術と組み合わせて治療されました。全員に不可逆電気穿孔法を行うことができ、生存期間はおよそ5か月から7年の間で、順位で中央にあたる人で2年あまりでした

 

膵臓がんは進行した段階で見つかることが多く、手術後の生存率はがんの中でも低い部類と言われています。手術に代わりうる、あるいは手術を補う方法として不可逆電気穿孔法が役立つかどうか、この結果もふまえて検討されていくことになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Treatment of 200 Locally Advanced (Stage III) Pancreatic Adenocarcinoma Patients With Irreversible Electroporation: Safety and Efficacy.

Ann Surg. 2015 Sep

[PMID: 26258317]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る