2015.06.23 | ニュース

レビー小体型認知症に効く薬はあるのか?

これまで試された薬剤のまとめ

from The American journal of psychiatry

レビー小体型認知症に効く薬はあるのか?の写真

レビー小体型認知症は、パーキンソン症候群、幻視、認知機能の変動などを特徴とする認知症のひとつです。有効な治療法が模索されつつありますが、根治を期待できるものはありません。これまで試された治療薬について、既存の研究を検証し比較する研究(システマティックレビュー)から、認知機能と精神症状に効果が認められた2種類の薬剤ほか、効果があると見られた薬剤が報告されました。

◆薬剤治療について過去の研究を調査

研究班は、論文データベース、臨床試験の登録情報などの情報源から、関連する研究を集めて検証し、可能な場合は報告された結果を統合して解析しました。

 

◆ドネペジルほか有効な薬剤

次の結果が得られました。

22の治療法を検討した44件の研究が採用された。メタアナリシスから、ドネペジルとリバスチグミンに認知機能の症状と精神医学的症状に有益な効果が示された。リバスチグミンはより大きな有害事象のリスクと関連していたが、ドネペジルにはその関連がなかった。メマンチンについてのメタアナリシスは、メマンチンの忍容性は高いが有益性はほとんどないことを示唆した。記述的要約から、ガタンラミン、モダフィニル、レボドパ、ロチゴチン、クラザピン、デュロキセチン、クロナゼパム、ラメルテオン、ガバペンチン、ゾニサミド、抑肝散に何らかの有益性のエビデンスが得られた。ピラセタム、アマンタジン、セレギリン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、シタロプラムは有効ではないと見られた。

それぞれの薬剤について、効果と有害事象(副作用の可能性がある、治療中に起こった悪い出来事)を検証したところ、情報源とした報告の中で、認知機能と精神症状に効果があると見られたのはドネペジルとリバスチグミンであり、ドネペジルは有害事象増加と関連が見られませんでしたが、リバスチグミンは有害事象増加と関連が見られました。

これらの結果をふまえて、研究班は「レビー小体型認知症において重要な領域、たとえば自律神経症状や介護者の負荷に対する治療戦略は研究されてこなかった。薬剤治療に対する患者と介護者の見方も研究されてこなかった」と述べています。


ドネペジルの先発薬がレビー小体型認知症の治療薬として承認されたのは2014年です。まだまだわかっていない部分の多い病気ですが、レビー小体型認知症の解明と対策が今後も望まれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Pharmacological Management of Lewy Body Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Am J Psychiatry. 2015 Jun 18 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26085043]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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