2015.04.27 | ニュース

葉酸を摂取すると脳卒中予防の効果が高まる?

中国で2万人の治療効果を比較

from JAMA

葉酸を摂取すると脳卒中予防の効果が高まる?の写真

脳卒中はがん、心筋梗塞と同様に死因になることが非常に多く、また寝たきりになってしまう主な原因です。脳卒中の原因の1つとして高血圧が知られていますが、中国で成人の高血圧患者を対象に、エナラプリルという降圧薬と同時に、妊婦に摂取が勧められる「葉酸」というビタミンの一種を使ったところ、脳卒中の発症が減ったという一見変わった結果が出ました。

◆エナラプリルと葉酸で4.5年間治療

この研究では2008年から2013年にわたって、江蘇省と安徽省の32の地域で、合計20,702人の成人の高血圧患者を対象に行われました。

患者群を2つのグループに分け、一方にはエナラプリルと葉酸の入った錠剤を、もう一方にはエナラプリルだけの錠剤を使って治療しました。治療は平均4.5年間にわたって続けられました。

 

◆脳卒中の発症数が減少

エナラプリルと葉酸で治療したグループとエナラプリルだけのグループを比較すると、脳卒中、脳梗塞、及び「心血管イベント」(心血管疾患による死亡・心筋梗塞や脳卒中の発症を統合)において、エナラプリルと葉酸で治療したグループの方が有意に発症した割合が低いという結果になりました。ただし、一方で、脳出血、心筋梗塞、及び死亡数全体では統計的に有意な差はありませんでした。

治療の副作用には有意な差がありませんでした。

 

今回検出された相関関係に対し、どのような因果関係があるのかはまだ明らかではありません。もし葉酸に高血圧患者の脳卒中を予防する何らかの効果があるなら、影響は大きいかもしれません。

実際に高血圧を治療されている医師の方はどう思われますか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy of folic acid therapy in primary prevention of stroke among adults with hypertension in China: the CSPPT randomized clinical trial.

JAMA. 2015 Apr 7

[PMID: 25771069]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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