ましん(はしか)
麻疹(はしか)
麻疹ウイルスによる感染症。子どもに多く、高熱や発疹が特徴的の病気
8人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2024.02.29

麻疹(はしか)の基礎知識

POINT 麻疹(はしか)とは

麻疹(はしか)はウイルスによる感染症です。空気感染という広がりやすい感染のしかたをするため、感染力が強いです。予防接種(ワクチン)があるので、ワクチンを打っていると予防できますが、ワクチンを打っていない人を中心に感染の流行が起こります。主な症状は発熱・眼脂(目やに)・鼻水・発疹です。数日の発熱の後に一旦解熱してから高熱と発疹が出るという経過が麻疹に特徴的です。 診断する方法として血液を用いた抗体検査や遺伝子検査を行うことができますが、結果がわかるのに時間がかかる弱点があります。そのため、流行状況とワクチンの接種状況、経過から総合的に判断することが多いです。麻疹に対する特効薬はありません、そのため症状を和らげる治療(対症療法)が行われます。麻疹が心配な人や治療したい人は、小児科・内科・感染症内科を受診して下さい。

麻疹(はしか)について

  • 麻疹ウイルスによる感染症
    • 子どもに多く、高熱、咳、発疹が特徴的
  • 空気感染飛沫感染接触感染が原因になる
    • 感染力が非常に強い
  • 最近では10代、20代の感染が多い
    • 麻疹の予防接種を受けていない人が多い
    • 2006年から麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)が義務化されたが、その前に義務化されていなかった世代が感染していることが多い
  • 予防接種を受けることにより症状の悪化を防ぐことができる

麻疹(はしか)の症状

  • 約10日間の潜伏期を経て発症
  • 発熱や咳、目やにや鼻水といったかぜのような症状が最初に出る
  • 2~3日熱が続いた後に一旦解熱するが、その後に再び39℃以上の高熱と発疹が出現
    • 多くの場合は、2回目の熱の方が高い
  • 口の中の粘膜に、白い粟粒のようなコプリック斑と呼ばれる斑点ができる
  • 起こりやすい合併症

麻疹(はしか)の検査・診断

  • 症状や流行状況から総合的に診断することが多い
  • 血液検査
    • 麻疹ウイルス抗体検査や遺伝子検査を行う

麻疹(はしか)の治療法

  • 特効薬はない
    • 対症療法(症状を和らげる治療)として解熱薬(アセトアミノフェンなど)を使う
    • 肺炎などで細菌感染も同時に起こった場合には抗菌薬を使う
    • 重症の場合にはガンマグロブリンの注射が行われることもある
  • 麻疹ワクチンの接種で高率に予防できる
  • ワクチン未接種の子供が麻疹患者と接触した場合、生後6か月以降であれば72時間以内にワクチンを緊急接種することが推奨される

麻疹(はしか)の経過と病院探しのポイント

麻疹(はしか)が心配な方

麻疹はしか)は10-20代に多く高熱の出やすい感染症です。2000年代には高校生、大学生を中心とした国内での流行が散発的に見られましたが、2015年に日本国内からの麻疹排除がWHO(世界保健機関)によって認定されました。これは、日本国内で麻疹に感染する方がいない(土着ウイルスによる感染が報告されていない)ことを意味します。

2016年には関西国際空港の職員に麻疹患者が出ました。これは国外から入国した人に麻疹患者がいたためうつったのか、国内で発症したのかは分かりませんが、国際社会化している日本では国内で一旦感染症がなくなっても再び感染症が起こってしまう一例と考えられます。感染症にかからないため、そして感染症を広げないために予防接種を打っておくことは重要になります。

麻疹について理解しておきたいのは、麻疹は通常の風邪と同じく、自然の経過で治る病気であるということです。国内での感染はかなり減っていますが、海外で感染した方が帰国して、そこから感染するということは今でも例年報告されています。「近くに麻疹の人がいて、うつった可能性が高い」「麻疹に特徴的な症状が出ている」といったような場合であれば、高熱が出たり意識がぼーっとしたりというような場合を除けばとりあえず自宅で様子を見るという選択肢もあります。
したがって、麻疹で医療機関を受診する目的というのは、他の病気ではないことを確認することが中心となります。

もし診断が麻疹だということになれば、熱があれば熱冷まし、咳があれば咳止めといったような対症療法薬が処方されます。周囲へ感染を広げてしまうことにもなるので、学校や職場はお休みして、自宅ではこまめに手洗いうがいを行いましょう。

受診先は、お子さんならば小児科のクリニック、成人の方であれば内科のクリニックが良いでしょう。麻疹は小児期や青年期に多い病気ですが、成人もかかることがあります。小児科の医師は診断に慣れていますが、成人を主に診ている医師では、場合によっては麻疹の可能性が思い浮かびにくいこともあるかもしれません。お近くに麻疹の方がいるなど、ご自身の体調不良に心当たりがある場合は、最初に受診の目的や心配事をぜひ医師にお伝えください。

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